コンサルタントの視点から:「災害に備えよう」
1.はじめに
9月1日は「防災の日」です。
7月に熊本地震が発生しました。10年後に再び大地震が襲ったのです。また、8月には千葉県で、線状降水帯による洪水が発生しました。「災害は、いつ、どこで起きてもおかしくない」のです。
そして、歯科医院は一般の事業所とは異なり、診療中であれば患者さんの口腔内にはタービンや超音波スケーラーなどの刃物が入っており、院内には危険物があります。
今回は「災害が来たらどうしよう」と考えるだけではなく、「患者さんを守る・スタッフを守る・医院を守る・できるだけ早く診療を再開して地域の歯科医療を支える」、という視点から、自医院の災害対策を考えてみましょう。
2.歯科医院に必要な災害対策
歯科医院では、診療中に大きな揺れが発生した場合、治療を中断し、患者さんの口腔内から危険な器具を取り除かなければなりません。
外科処置中であれば、止血や創部の保護など最低限の応急処置が必要になります。揺れでキャビネットが開けば、器具、薬品、ガラス製品などが床に散乱する可能性があり、停電すればユニットなどすべてが使用できなくなります。レセコンやデジタルX線画像などのデータが失われれば、診療再開に支障が生じます。したがって、歯科医院の防災では「命を守る対策」と「診療を再開する対策」を、セットで考えることが必要なのです。
3.自身発生時の優先順位
災害が起きたときは、医院として優先順位を決めておくことが重要です。次の順番で考える必要があります。
①患者さんを守る: 診療を直ちに中断します。患者さんが急に立ち上がると転倒する危険があるので、強い揺れの最中は、スタッフ自身も無理に移動せず、揺れが収まった後、患者さんを安全な場所へ誘導します。
②スタッフを守る: 患者さんを守るためにもスタッフが負傷しないことが重要です。熊本地震では被害を受けた商業施設でガス爆発が起き、再度中に入った従業員が亡くなりました。強い余震が来て建物が倒壊したり、火災や爆発が起きる危険があるので、再び建物内に入らないことが重要です。
③医院を守る: 安全を確保できる範囲で、火気の確認、ガスの遮断、電気設備の確認、薬品の漏出確認、酸素ボンベ等の確認、火災の有無の確認を行います。ただし、これらは人命より優先してはいけません。
④負傷者への応急対応: スタッフや患者さんの負傷状況を確認し、AED、救急要請、止血、洗浄などを行います。
⑤スタッフ・家族の安否確認:患者さんと医院の安全が確保できた段階で、スタッフと家族の安否確認を行います。電話は繋がりにくくなるため、LINE、SMS、メール、災害伝言サービスなどの連絡方法を、事前に決めておきます。
⑥医院の被害確認と診療再開判断: 院長または災害責任者が、スタッフの状態、建物、電気、水道、ガス、医療機器の状況などを確認し、「診療継続」「応急診療のみ」「休診」のいずれにするかを判断します。
⑦勤務時間外の対応: 休日や夜間に災害が発生した場合は、スタッフは自分と家族の安全確保が最優先です。無理に医院へ向かうと、道路の寸断、火災、落下物などによって二次被害に遭う可能性があるからです。医院への参集は、本人・家族の安全を確認したうえで、院長または災害責任者の指示に従うというルールにしておきましょう。
4. まとめ
災害対策の目的は、患者さんとスタッフの命を守り、医院の被害を最小限にし、できるだけ早く地域の歯科医療を再開することです。そのために重要なのは、「誰が、何をするか」を平時に決めておくことです。地震が発生してから役割分担を話し合うことはできないからです。
以上

