皆さんの歯科医院では災害対策は整っていますか?医療機関として、話し合って備えておきましょう。


1.救急用品をそろえる


1) 救急医薬品・救急用品: 生理食塩水、創傷洗浄用品、消毒薬、ガーゼ、包帯、テープ、止血用品、救急バッグなどを準備し、使用期限を定期的に確認します。医薬品は、災害用だからと特別に大量備蓄するのではなく、法令、保管条件、使用期限、通常診療での使用状況を踏まえて管理します。

2) AED: 「置いてある」だけでは意味がありません。スタッフ全員が使用方法を理解しておきましょう。

3) 担架・搬送用品: 折りたたみ式担架などがあれば、災害時や診療中の急変にも利用できます。

4) 非常用電源: ポータブル電源や非常用発電機を検討します。ただし、「何を何時間動かしたいのか」を決めてから容量を選ぶことが重要です。発電機を使用する場合は、一酸化炭素中毒防止のため屋内では使用しないなど、安全管理を徹底します。


2.電子カルテ・レセコンのBCP対策をとる


現在の歯科医院で重要なのが「データ」です。失うと困るものを洗い出してみましょう。患者基本情報、電子カルテ、レセプトデータ、予約情報、デジタルX線画像、口腔内写真、会計データなどについて、院内のパソコンが壊れても復旧できるかを確認しておきましょう。クラウドバックアップなどを活用し、復旧できることを定期的に確認しておくことが重要です。


3.院内で負傷者を出さない


災害対策で最も費用対効果が高いのは、「倒れない・落ちない・飛び出さない」ようにすることです。

1) キャビネットを固定する: 大型収納棚や消毒キャビネットは壁などに固定します。扉には耐震ラッチを取り付け、中の器具や薬品が飛び出さないようにします。

2) 重量機器を固定する: コピー機やレントゲン等キャスターがついている重い機器は、震災の揺れで院内を走り回る危険があります。キャスターにゴムのベースを取り付け設置性を高めておきましょう。

3) ガラス飛散防止対策を行う: 窓やガラス扉などは飛散防止フィルム貼付けガラスにします。

4) 避難経路に物を置かない: 非常口付近に、在庫や機器など置かないことを日常のルールにします。

5) 足を守る対策をする: 地震後の床には、割れたガラス、バー、ファイル、注射針などが飛び散る可能性があります。スリッパでは歩けないので、診察室も土足にしておきましょう。日常の診療でも高齢患者や若い女性患者に喜ばれます。


4.災害後に必要となる歯科医療に備える


災害後には、歯や顎顔面の外傷、歯痛、義歯の紛失・破損、抜歯後や外科処置後のトラブル、口腔衛生状態の悪化などへの対応が必要になります。避難生活が長期化すると、口腔ケア不足が全身状態にも影響します。高齢者では口腔衛生状態の悪化による誤嚥性肺炎などにも注意が必要です。

日本歯科医師会では「日本災害歯科支援チーム(JDAT)」を設け、地域歯科医療の復旧支援などを行う体制を整備しています。自医院だけですべてに対応しようとするのではなく、地域歯科医師会・行政・病院・JDAT等との連携を、平時から確認しておくことが重要です。


5.緊急連絡体制を作っておく


スタッフ、患者さん、連携医療機関、歯科医師会・行政等との連絡体制を作っておきましょう。

以上