1.予約を断った際の対応がカスハラに発展することが多い


土曜日や日曜日は、定期予防の予約が数か月先まで埋まっている医院も多いでしょう。

ある歯科医院に、患者さんから予約の電話がありました。
「月末の土曜日の午後で、定期健診の予約を取りたいのですが……」
患者さんが言いかけたところで、受付担当者はすぐにこう伝えました。
「申し訳ありません。土曜日の定期健診は2か月先まで予約が埋まっています」
患者さんは「分かりました」と電話を切りました。

ところがその後、同じ患者さんが繰り返し、執拗に院長宛てに電話をかけてきました。
院長が対応すると、「あの受付は能力がないから辞めさせてください。予約の取り方がなっていない」と一方的に話し始めました。 
院長は、「当院はスタッフを大切にしており、受付担当者を解雇することはありません。当院は混みあっていてご希望の日時の予約は難しいので、駅前にたくさん歯科医院がありますので、そちらで受診してほしい」と案内しました。


2.対応のポイント

最初の予約の断り方と、その後の患者の行き過ぎた要求にどう対応すればよいでしょうか。

①断る前に、最後まで患者の話を聞く

受付担当者は、予約状況を把握していたのでしょう。空きがないと分かっていれば、すぐにお伝えすることが親切だと考えるのも自然です。しかし、患者さんには、話が終わる前に断られたという感覚が残り、「話を聞いてもらえなかった」「最初から受け入れる気がない」などの感情が生じることがあります。予約が取れないという事実よりも、扱われ方に対しての不満が残るのです。

②お断りは、理由と代わりの提案をセットにする

希望の日時に空きがなければ、その事実を簡潔に伝えます。その際、「無理です」だけで終わらせず、医院で対応できる選択肢を添えることが必要です。例えば、「申し訳ございません。ご希望の土曜日の午後は、すでに2か月先まで予約が埋まっております。土曜日以外ですと月末の週でしたら○月○日の〇曜日にご案内できます。ご都合はいかがでしょうか」などの言い方です。
大切なのは、「その日時にはお取りできない」という説明と、「いつならお取りできる」という案内をつなげることです。こうすれば、患者さんが次の判断をしやすくなるからです。キャンセル待ちの仕組みがある医院では、その案内も選択肢になります。
ただし、確約できないことは約束しないようにする必要があります。「キャンセルが出た場合にご連絡することはできますが、ご希望の日までに空きが出るお約束はできません。」このように、約束できることと約束できないことを明確にします。

③不満の申し出とカスタマーハラスメントを区別する

患者さんからの「断りかたが冷たかった」という申し出だけで、カスハラと決めつけることはできません。しかし、スタッフの解雇の要求、執拗に繰り返す電話などは、通常の意見や要望とは分けて対応する必要があるのです。


3.まとめ 

丁寧な応対をしていても、行き過ぎた要求が起こることはあります。患者さんのパーソナリティによることも多く、受付担当者の責任ではありません。ただし、お断りするときは、「できるだけ丁寧に相手の話をお聞きして」「対案を示して応対する」ことを共有しておきましょう。   

以上