ある歯科医院に、派手な色の長いネイルをつけて、グローブを二重にしている歯科衛生士がいました。
二重にしていても爪の形や色は分かります。
また、動きもぎこちなくなります。
爪を長く伸ばして派手なマニキュアをしている場合も同じです。
もし、自分が患者さんで爪の長い歯科衛生士がでてきたらどんな感じがするでしょうか。
特に、予防歯科では中高年の女性患者が6割以上を占めています。
「感じのよいスタッフだ」と思ってもらえるでしょうか。

さて、ユニットに座り、担当の歯科衛生士がやってきました。
まず、うがいを勧められます。
そのとき、コップをセットする手に視線が行きます。
「あれ?」と感じるでしょう。
そして、背もたれが倒され、歯科衛生士から「お口を拝見しますね」、といわれて口を開けます。
そのとき、なんだか変な爪先のグローブが入ってきます。
指先ではなく、爪が当たらないように指の腹で口腔内を触ってきます。
「あれ?こんなので感覚があるのか?」と疑問に感じるのではないでしょうか。

そして、ポケット検査が始まります。
プローブを指先で持っていますが、爪をかばいながらです。
正確性が求められる検査なのに、果たしてそんな握り方で正しい計測ができるのでしょうか。

次に、スケーリングが始まります。
超音波スケーラーを、指先が当たらないように指の中ほどでグリップしています。
これで力の入れ具合が判断できるのでしょうか。
口腔内を確認するために指先で口唇を広げるとき、長い爪が患者さんの口唇に当たって、患者さんに違和感を与えるのではないでしょうか。
そして、ポリッシングです。爪が邪魔になってやりにくくないのでしょうか。

グローブを二重にするのは爪でピンホールが開くのを警戒しているからでしょう。
医院にとってはグローブの無駄使いですが、実はそれだけでは済みません。
グローブは2時間ほどでピンホールができるといわれるほど薄く弱い材質です。
爪先のように突起物があるところは引っ張られて薄くなり、目に見えないピンホールができる可能性が高くなります。
まず、患者さんに触れているグローブにピンホールが開きます。
ぴったり密着しているので、毛細管現象で唾液や血液そしてウイルスもグローブの内側に薄く広がります。
次に、皮膚に密着しているほうのグローブにピンホールが開きます。
すると、そこからグローブの内側に浸み込んできます。
中に入った唾液や血液が爪先に広がります。
グローブを外すとき、汗びっしょりになった感じがあると思いますが、患者さんのだ液や血液も入り込んでいるからです。
それが爪と皮膚の間に入り込みます。
そして傷があれば体内に入り、感染してしまう危険があるのです。

もし、総合病院で自分や親が大きな手術を受けることになったとして、担当の看護師が長い派手なネイルのうえからグローブをしており、そのネイルをかばいながら処置をしているのをみたら、どんな感じがするでしょうか。
これは歯科医院でも同じです。
そのために、多くの歯科医院では服務規律でネイルの着用を禁止しているのです。
患者さんにも、病院にも、自分自身にもよくないことが起きるのです。

「男性から素敵に思われたい」と願う女性の心理も理解できますが、歯科衛生士なのに派手で長いネイルや長い爪に派手なマニキュアをつけている女性は、男性から真面目な交際相手と考えてもらえないかもしれません。
自分を安売りしないためにもよく考えてくださいね。

以上