コンサルタントの視点から:「親子承継を成功させるポイントを考える」
■はじめに
2026年7月10日(金)11日(土)12日(日)に開催された日本歯科医療管理学会で、神奈川県歯科医師会の承継に関するアンケートが公開された。承継元の88.5%が親族で、うち92.0%が自身の親から承継という結果であった。
しかし、現実は親子承継がうまくいかないケースも多い。 今回は、親子承継を成功させるポイントを考えてみたい。
■承継に関するアンケートの結果
このアンケートは、令和8年2月24日から4月15日に実施された。方法は全国の都道府県歯科医師会を通じて、会員へWebアンケートを配信したものである。有効回答数は4,207件であった。
このアンケートから、親子承継に関するデータを抽出しながら考察していこう。
①「誰に歯科医院を承継させたいか」
「家族」が70.3%、「第三者」は14.3%、「勤務医」は2.4%であった。
②「だれに承継させたか」
承継させたのは、「ご子息・ご令嬢」が48.8%、次に「第三者」が39.5%、「勤務医」は9.3%であった。①の「承継させたい」意向とは大きな乖離があった。
③「承継しなかった最も大きな理由」
親の歯科医院を承継しなかった理由は、「家族関係や距離などの事情」が22.1%、「立地が合わなかった」17.8%、「経営方針・治療方針が合わなかった」20.9%、「承継時期が合わなかった」13.5%、「医院の経営状況が合わなかった」5.9%であった。
④「承継に関する話し合いを行ったか」
53.7%が「話し合いを行わなかった」と回答した。
■親子承継を成功させるポイントとは
上記のように親子承継をさせたい意向と現実には、大きなギャップがある。親子承継を成功させるために重要と考えられるポイントを列挙しておきたい。
① 医院の経営状態が子供に承継させるに値すること
医院の経営状態が良くなければ、自分の苦労を子供に押しつけるだけの結果に陥る。子供が勤務医として成功できれば、年収1千万円~2千万円を稼ぐ。医院承継より生涯収入が高くなる可能性があることを踏まえて、慎重に考える必要がある。
②親子で医院の経営内容や財務状況を理解していること
医院の経営状況や借入金残高など財務状況を伝えておかないと、子供に「帰って医院を継げばなんとかなる」など、安易な判断をさせる可能性がある。
③承継後の経営や親の生活設計などを話し合っていること
親が現役歯科医師として子供と一緒に診療を続けたいのか、完全にリタイアしたいのか、自分の考えを整理しておく必要がある。
④ 親が譲歩すること
成功している医院では、親が譲歩して承継を機に引退しているケースが多い。帰ってくる子供は最新の歯科治療技術を習得しており、夢や希望を持っている。彼等彼女等のほうが今の歯科医師としては優れていることを理解して、親は譲歩しながら退場していかざるを得ない。
⑤ 将来の相続なども含めて対策を立てておくこと
医院承継を考える際に法人化を考えておく必要がある。承継する子供以外に兄弟姉妹がいる場合、相続財産の配分も考えておく必要がある。
■まとめ
親族への承継を希望する歯科医師が70.3%、実際に親族に承継したのは48.8%という結果が、親子承継の難しさを証明している。子供に承継を断られ、勤務医に断られ、やむなく第三者承継を検討するというケースが多い。
まずは、親が子供と承継について率直に話し合うところから始めていただきたい。
以上

