予約で満席時の断り方ひとつで医院の評判は変わります。ですから、好感度を上げる断り方の工夫が必要です。

歯科医院では土曜日や日曜日は混雑します。待合室は患者さんでいっぱいです。毎時00分と30分には、チェア台数と同じ人数の予約患者さんが集まり、治療が終わった患者さんが会計にでてきます。診療が終わる順に患者さんを導入しますが、順序が前後すると気を遣います。また会計もできるだけお待たせせずに行なわなくてはなりません。次回の予約取りやお薬をお渡しする必要もあります。その間に予約の電話が鳴ってきます。お年寄りの予約変更の電話で理解されずに時間がかかってしまうこともあります。

こうしたストレスのなかで患者さんからの予約電話が入ってきます。混雑している土曜日の予約でした。すでに3週間先まで満杯状態でお断りしなくてはならない状態ですが、当院で以前治療した患者さんのインレー脱離の電話でした。脱離したインレーは紛失したそうです。さて、どうすればよいでしょうか。

このとき注意する必要があるのは、「忙しいのに!」という気持ちや態度が早口で強い口調として声に表れないようにすることです。また「この日はすべてご予約が埋まっており、ご予約をお取りできません」と事務的に答えてはいけません。忙しいときはとっさに事務的に答えがちですが、患者さんに粗末な対応をされた、と感じさせてしまうからです。

次のやりとりをロールプレイしましょう。
1.謝罪を加えてご説明します。
「○○さま、○月○日のご予約ですね、申し訳ございません。あいにくこの日はすべてご予約が埋まっております。」⇒まず謝罪して状況をお伝えすることが大切です。
2.他の曜日なら近いご予約ができることを伝えます。
「詰め物が外れていらっしゃるということで御心配ですね。できるだけ早い日時で探してみますので少々お待ちください。○日後の○月○日○曜の○時でしたら、お取りできますが、いかがでしょうか。⇒ただお断りするのではなく別の提案をしてみるのです。
3.御心配なら、急患で仮の詰め物をすることを伝える
「ご都合がお悪いということですね、○○さま、仮の詰め物でよろしければ、先生と相談してなんとか今日中に詰めさせていただけると思いますが、いかがでしょうか?」「それでは先生に聞いて参りますね」「お待たせいたしました。それでは○○さま、今日の○時にご来院いただけましたら、1時間程度お待ちいただくかもしれませんが、仮の詰め物を入れさせていただくことができます。いかがですか?」⇒セメントによる仮封だけでも提案すれば患者さんは喜んでくれます。

電話越しですが、せっかく来院してくれている患者さんです。しかも脱離の場合、患者さんは不安になって、怒りも感じている可能性がありますので、感情への配慮も必要なのです。
診療時間を過ぎた時間のご予約を希望する患者さんに、その時間に開いている医院を教えてあげる医院もあります。感謝されて次回の来院につながるケースもあるようです。目の前の患者さんだけでなく、まわりの患者さんやいつか来院してくれる可能性にも気配りしましょう! 以上