小児歯科は、親御さんからの激しいクレームにあうことがあるため、未然に防止するための対策が不可欠です。小児歯科で実施している対策をご紹介しましょう。

1.4歳以上は母子分離:
4歳は幼稚園でも年少さんで母親から離れる訓練ができています。母親が近くにいると甘えて泣きわめくようになりますので、お子さんの自立心を養う意味でも母子分離が必要です。子どもが大きくなっても一緒に診療室に入ろうとする母親がいますが、この母親の心理は、「歯医者が自分の可愛い子供に変な治療をしないように監視しよう」というものでクレームに直結します。お子さまの自立心を養うためと説明して待合室でお待ちいただきましょう。

2.「3-3-3ルール」の実施:
泣きわめくお子さんは、無理に治療すると事故のもとになるので、無理に治療をしないことが大切です。泣き出すと3分間泣き止むのを待ちます。これを3回繰り返します。30分のチェアタイムでは終わりになるので、何もせずにお帰りいただきます。これを3回繰り返すと、当院での診療が無理であることが親御さんに理解していただけますので、専門の医療機関に紹介します。

3.子どもの顔にはタオルをかけない:
子どもが怖がらないための配慮として顔にタオルを掛けるケースがありますが、口唇の色の変化、顔色の変化に気づきにくくなります。子どもの歯科治療中の死亡事故の大部分は、顔にタオルをかけていて発生しています。「ようやく泣き止んだ」と思ったら亡くなっていた、大人しくなったと思ったらアナフィラキシーショックで衰弱していたなどです。死亡事故に直結するので、顔にタオルをかけないで処置をする必要があります。

4.処置が終了したらすぐに親御さんのところにかえす:
特に抑制をかけているときは、子どもは恐怖と痛みを我慢しています。ネットから外したとたんに大泣きして暴れる可能性があります。治療が終了したら、抑制をかけたままの状態で母親を呼びにいきます。そして、ネットから外したらすぐに母親に預けて、そのまますぐに診察室から出しましょう。子どもも母親も落ち着きます。それを待って診察室の外で説明をしましょう。

5.ラバーダムをセットする:
子どものC処はできるだけラバーダムをセットしましょう。舌で患部をなめてしまい感染してしまうからです。小さな歯牙なので処置がやりやすくなります。日本小児歯科学会もラバーダムを推奨しています。

6.小児歯科専門の歯科衛生士を養成する:
小児歯科では、歯周病治療よりもう蝕処置が多くなります。離乳時期、乳歯萌出期、乳歯列期、混合歯列期などで注意点が違ってきます。歯牙も小さく、口腔内も狭いほか、泣いて暴れるお子さんも多く、シーラントなどの処置も一定の熟練が必要です。お母さんからの質問に答える知識力も必要です。小児歯科専門の歯科衛生士を養成しておくことで、お子さんやご両親の不安やトラブルを避けられる可能性が高まります。                      

以上