長引いた緊急事態宣言がようやく終了しました。 第6波が来るかも知れませんが、患者さんが再び来院してくる可能性があります。リコールはがきを送ったり、電話を掛けたりして、昨年3月頃から中断している患者に来院を呼び掛けましょう。このとき、いくつかのポイントがありますのでご紹介します。

 今回のリコールは、緊急事態宣言終了に伴う増患対策だけでなく、治療中の歯牙を放置しておくことのリスクを患者さんに伝える「説明責任を果たす」という側面があります。

①インプラントメンテナンスの中断患者に送る
 例えば、インプラントメンテナンスに昨年3月から来院していない患者さんは、インプラント周囲炎になっている可能性があります。放置すると骨吸収や脱落などに至るリスクがありますが、これを説明しておかなければ、患者さんからそのようなリスクは説明されていない、と訴えられた場合に負けてしまう危険があるのです。このため、発送したはがきの控えを保存し、カルテに発送日を記録しておく必要があります。

②根管治療中の中断患者に送る
 根管治療中の中断患者など治療中で中断している患者さんについてもリコールはがきを送る必要があります。特に、根管治療中で長期間来院していない患者は根管内が感染している可能性が高く、抜歯に至るリスクがあるからです。このため、できるだけ早期に来院していただき、治療中の歯牙の状況を確認し、治療を再開する必要があります。

 これは、歯科医院が根管治療を中断した患者に対して一度も来院を呼び掛けず、結果的に抜歯になったとして敗訴した事例があるからです。リスクを説明したはがきを送付したことをカルテに記録し、歯科医院として説明責任を果たした証拠を残しておくことが必要です。

③定期予防の患者さんに送る
 最後に、増患対策のために、昨年3月頃から中断している定期予防の患者さんに来院を呼び掛ける必要があります。このときは、口腔ケアにはウイルス感染の予防効果や、重症化予防効果があること、院内は高度な感染予防対策を実施しており安全であることを記載しておくこともポイントです。このとき、以前に医院でトラブルを起こした患者を除外しておくことが大切です。

 歯科治療に関する訴訟では、治療行為そのもので敗訴している例は少数です。しかし、説明責任を問われて敗訴している例が多いのが実情です。コロナ禍による緊急事態宣言で来院をためらい中断した患者さんが多いと考えられます。インプラントメンテナンスや根管治療など、歯牙を失う可能性があることについては、説明したことを証拠に残しておきましょう。

 以上