カルテ庫が溢れそうで対策を必要としている医院が多いようです。カルテは法的に5年保存義務がある公的な書類です。しかも、氏名、住所、健康保険証番号、疾患名など、個人情報の塊です。個人情報保護法では常時施錠できる場所での保管が義務付けられているほどです。しかし、カルテが増えていくなか、カルテ庫のスペースに余裕がなく、テナントのため増築工事も不可能、という医院はどうすればよいでしょうか。近所に賃貸マンションを借りてカルテ庫としている医院もありますが、とにかく不便です。何か良い方法はないでしょうか。

 こんな場合は、カルテ保管サービスの活用を検討してみてはいかがでしょうか。

 多くは、段ボールでカルテを送り、必要に応じて送り返してくれるというサービス内容です。段ボールでまとめて送ると、全てスキャンして電子データで保管して、急に古い患者さんが予約された場合でもデータ化して送付してくれる会社もあります。また、保管期限が来ると溶解処分をしてくれる会社もあります。急ぐ時にPDFで送ってくれる会社もあります。

 ただし、注意点があります。カルテの法定保存年限は5年間ですが、昨年の民法改正によって医療事故の場合の時効は「生命・身体の侵害による損害賠償請求権」として20年になりました。もし医療訴訟が提訴されて、カルテがなかったら、患者の訴えがそのまま通ってしまうことになる可能性がでてくるのです。つまり、カルテ、レントゲン画像、口腔内写真、技工指示書、診療メモなどは、せめて10年、できれば20年は保管しておきたいところです。

 次の各社が、カルテの預かりサービスを取り扱っています。料金やサービス内容は少しずつ違うので、各社のホームページから検索して比較していただきたいと思います。

*主なカルテ預かりサービスを実施している企業
1.ヤマトロジスティクス株式会社 カルテ保管サービス
2.SRI(株式会社セキュリティリサイクル研究所)カルテ保管サービス
3.コトバンク(株式会社 寿データバンク)病院カルテ保管サービス
4. 大塚商会「セービングBOX」

 それぞれの企業が独自の保管サービスを行なっており、料金体系も異なっています。ここではヤマトロジスティクス㈱の例をご紹介します。

  • 最大10年までの一括保管契約が可能です。
  • 確実なセキュリティの下で、保管に使用するダンボールを箱単位で在庫管理を行います。
  • 必要に応じてYLCの倉庫から箱単位でカルテの現物を取り寄せることが可能です。
  • 緊急でカルテが必要な場合は、対象のカルテをデータ化して送付することも可能です。
  • 保管期限到来後は、未開封のまま溶解処理工場で処分し溶解完了証明書が発行されます。

 いくつかの企業に問合せして、自医院にあった会社を選定してみてはいかがでしょうか。

以上