【コラム】

12日から東京都と沖縄県は8月22日まで緊急事態宣言の期間に入りました。

来週から始まるオリンピックは、1都3県、北海道、福島県での野球の開幕戦でも無観客が決まり、大半の会場で無観客開催となります。

政府は夏休みの期間の人に流れを抑え、感染拡大を防止したい考えのようです。

開催されるだけよかったのかも知れませんが、なんとも残念ですね。

自転車のロードレースや札幌のマラソン、競歩など、沿道の応援をどうするのか、気になりますね。

ヨット競技も、江ノ島周辺の海岸に見物客が大勢押しかけたり、見物のプレジャーボートが沖に集結したりして、かえって危険になりそうな気がします。

埼玉・千葉・神奈川・大阪の4府県に適用されている「まん延防止等重点措置」も同期間まで延長となりました。

緊急事態宣言下の東京都では再び酒類の提供が禁止され、「まん延防止措置」対象地域は酒類の提供を原則停止とするが、一定の感染対策をした店舗では知事の判断で午後7時まで提供できることになりました。

長引く緊急事態宣言、まん延防止措置で人々に「慣れ」が生じていることが懸念され、効果は不透明です。

緊急事態宣言の出た東京で新規感染者が1000人を超えました。しかし重症者は減少しています。

効果のないことを見越しての政治的な判断だったのかとも思いますが、飲食業の方は大変です。

私のクライアント歯科医院は、都心の一部を除いて一昨年より患者数も売上も増えています。

直接会場に行けないオリンピックをステイホームで観戦する人が増えると、患者数が若干減少するのかも知れませんね。

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●スタッフ向け 受講料は22,000円(税込・昼食込)です。
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2.「ドクターのための究極の自費増大の話術教室」9月22日(水)23日(祝)
・講師3名、受講生6名限定です。 ※残り2席です
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【メルマガの主旨】

優良な医療機関の売上向上、患者数増加は社会に役立つ使命です。
そして、売上や患者数を増やすためには、医療サービスとしてのマーケティング対策が必要です。
このメルマガは、歯科経営に絞り込んだ狭い専門領域のメルマガです。
優秀な診療技術を持ちながら、売上と患者数の減少に悩むドクター、あるいは、新規開業して早期に売上と患者数を増やしたいと考えているドクターのご参考にしていただければと思います。みなさまのご期待に応えるため、少しでもお役に立つ内容の濃いものにしたいと考えております。

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【発行周期】 原則として、第2、第4月曜日
【発行者】 木村 泰久
(社)日本医業経営コンサルタント協会 認定登録医業経営コンサルタント
株式会社 M&D医業経営研究所 代表取締役

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成功する!歯科医院のマーケティング対策 第421号

【目次】

1.歯科衛生士の浸麻を考える
2.他産業でいえばどんなこと?
3.歯科医院ではどうすればよい?
4.まとめ

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■1.歯科衛生士の浸麻を考える

歯科衛生士の浸麻について新しい動きがでています。昨年11月から一般社団法人日本歯科医学振興機構が、臨床歯科麻酔管理指導医/臨床歯科麻酔認定歯科衛生士の認定講習・認定試験を各地で開催し、受講者に「臨床歯科麻酔認定歯科衛生士」の資格を与えています。

また、日本歯周病学会が3月3日、「歯科衛生士による局所麻酔行為に対する特定非営利活動法人日本歯周病学会の見解」を示しました。

「~略~日本歯周病学会は、日本歯科医学会専門分科会のひとつとして、浸潤麻酔行為を含む歯周病治療に積極的に関わろうとする全ての歯科衛生士の活動を支援すべく、求められる情報発信や必要とされる教育機会の提供にこれからも尽力します。」としています。歯科衛生士の麻酔行為の適法性はどうなのでしょうか。

■2.他産業でいえばどんなこと?

新型コロナウイルスワクチン接種を進めるため、医師会は打ち手の確保に、歯科医師会へ協力を要請しました。

医師会が講師役を務め、脂肪などが人と似ているという鴨肉を用意し、歯科医師をワクチン接種担い手とするための研修を行いました。そんなことしなくても、筋肉注射の経験はあるし、もっと複雑に神経や血管が入り組んでいる口腔内に湿麻をしたり、採血をしたりしているわけで、ある意味、失礼な話なのかも知れません。

しかし、上腕に筋肉注射という経験は、一般の歯科医師ではなかなかないでしょうから、充分な研修を行うことで、安全にワクチン接種の打ち手になることができるのはよいことと思います。

■3.歯科医院ではどうすればよい?

歯科衛生士の湿麻については、行政や学会、歯科医師会から見解がでています。

1)行政の見解:
「歯科衛生士の麻酔行為について」(照会「昭和40・7・1 医事48」
麻酔行為は医行為であるので、「医師、歯科医師、看護婦、准看護婦又は歯科衛生士でない者が、医師又は歯科医師の指示の下に、医業として麻酔行為の全課程に従事することは、医師法、歯科医師法、保健婦助産婦看護婦法又は歯科衛生士法に違反するものと解される。その場合、いずれの法規に違反するかは、当該医師又は歯科医師の指示の態様によるものと解される。以下略。」

つまり、歯科衛生士は、歯科医師の指示のもとであれば、医業として麻酔行為の全過程に従事できるという見解です。

2)各学会の見解:

10年前に、日本歯科医学会は歯科衛生士の業務範囲について各学会の見解をとりまとめました。補綴学会、歯科口腔外科学会、保存学会、老年歯科学会が、高い経験能力の歯科衛生士であれば湿潤麻酔を行ってもよいという見解でした。

しかし、歯周病学会、保存学会、歯科麻酔学会、口腔インプラント学会は、湿潤麻酔は絶対的医行為であり歯科衛生士にさせてはいけない、と相反する見解です。このため、日本歯科医学会はあらためてワーキンググループを結成してこの問題を検討しており、統一的な見解が期待されます。

3)日本歯科医師会の見解:

日本歯科医師会雑誌平成2年11月号で、「歯科衛生士の歯科診療補助業務の適法性の判断」として、「前省略~一律に指示の適否をあげるのではなく、患者の状態、その行為の影響の軽重、歯科衛生士の知識技能の状態等によって異なる」とし、絶対的禁止行為として、

1)歯牙の切削、
2)切開や抜歯などの観血処置、
3)精密印象を取ることや咬合採得、
4)歯石除去術のための鎮痛処置を除いた、薬剤の皮下注射や歯肉注射としています。

つまり、患者の状態、その行為の影響、歯科衛生士の知識技能の状態等によって異なるが、一定の経験と知識を有している歯科衛生士であれば、相対的医行為の範囲が広がるので、歯石除去術のための鎮痛処置としての皮下注射や歯肉注射はできるという見解です。

■4.まとめ

このように、行政も複数の学会も日本歯科医師会も歯科衛生士の浸麻を容認しています。例えば、SRPの際に歯科衛生士が自分で浸麻を打つことができれば、そのつど歯科医師を呼びに行く必要がなくなるし、外科手術の際に歯科衛生士が浸麻を担当すれば歯科医師の負担は軽減されるでしょう。

このため、歯科衛生士に安全に浸麻を打たせるための研修や認定資格が次々にでてくると考えられます。しかし、神経や血管が密集している口腔内にキシロカインなどの劇薬を注入することは患者の身体に大きな危険を伴う医行為です。重篤なアナフィラキシーショックやリドカイン中毒を発症する危険があり、その場合は指示をした歯科医師も施術した歯科衛生士も責任を問われることになります。当然ながら、漫然と浸麻を打たせるのではなく、歯科医師の的確な診断のもとに、しっかりした知識教育と充分な相互実習、そして幅広い経験や知識を持つ歯科衛生士に担当させる必要があるでしょう。

さらに、万一に備えた救急救命機器の整備や訓練など、歯科医院としての有効なリスク対策が必要でしょう。                                    

以上