東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県の緊急事態宣言がようやく解除されました。解除の時期がお花見や歓送迎会シーズンに重なったため、あちこちで宴会やパーティが開催されるとみられます。「早すぎる」という声もありますが、歯科医院にも患者さんが戻ってくると予想されます。

 ただし、感染者数のリバウンドが懸念されています。高齢者へのワクチン接種が5月には一巡するとみられており、その頃になればかなり状況は違ってくると考えられますが、再度の緊急事態宣言になると大きな影響が予想されます。歯科医院としては、そうなったとしても継続的に患者さんに来院し続けていただく方法を考える必要があります。

 緊急事態宣言で大きな影響を受けたのは飲食店でしょう。解除後も午後9時までなので、中途半端な状態です。そのため、常連客にハガキで案内するほか、新規顧客に来店してもらうため、特別飲み放題コースなどお得なメニューを設定して、ぐるなびや、食べログ、一休レストランなどのサイトに出したりして工夫しています。

 歯科医院では飲食店のように午後9時までの制限はありませんが、中断していた患者さんに戻ってきていただきたい想いは同じです。そのために、これまでご紹介してきた対策をきちんと実施していくことが重要です。あらためて実施体制を整備しましょう。

1.「見せる感染対策」を実施する。

ホームページに感染対策を表示して来院を呼び掛けましょう。Instagramなどで感染対策を再度紹介するのも良いでしょう。患者さんは待合室と受付をみて感染対策を判断しますので、受付の自動体温計や自動消毒液噴出装置、車内で待てるブルブル呼び出し、座席へのソーシャルディスタンスの表示、待合室や診察室への空気清浄機の設置など、目に見える対策が有効です。

2.口腔ケアがコロナ予防と重症化予防につながるため、早く来院するように伝える。

コロナウイルスは舌の上にある受容体から体内に入るので、口腔ケアが予防の決め手になります。またコロナ肺炎が重症化するのは、むし歯や歯周病菌が肺胞のなかで増殖し、血管から体内に入って菌血症を起こすからです。高齢患者さんや小さなお子さんをもつお母さんに電話をかけたり手紙を送るなどして口腔ケアを促す必要があります。院内掲示なども工夫しましょう。

3.3ヶ月間も放置されていた口腔内の状況と治療計画を正しく伝える

治療途中で3ヶ月も放置すると、むし歯も歯周病も進行しており、残せない歯牙や多数歯う蝕になって長く通院する必要がある患者さんが増えているものと考えられます。これらの患者さん達には丁寧に口腔内の状況と治療計画をご説明して、治療を続けていただく必要があります。

4.コロナ予防と重症化予防のため、P重防かSPTに誘導する。

治療終了後には、ウイルス感染の予防と重症化防止を継続するため、定期的な口腔ケアの重要性をご説明して、P重防やSPTなど定期的な口腔ケアを受診していただく必要があります。

 今後は、新型コロナウイルス感染症の対策拠点として、歯科医院が大きな役割を担えると考えられます。一人でも多くの患者さんに帰ってきていただけるよう、スタッフミーティングで対策を話し合いましょう。                                

以上