コロナ禍で、患者さんは待ち時間に敏感になっています。以前から歯科医院では15分待たせると患者はイライラするといわれています。あらためて待ち時間対策を考えてみましょう。

待ち時間はチェア台数に関係ないようです。2台の医院でも待たせる医院はありますし、6台を超える医院でも「待ち時間が長い」というクレームが出る医院があります。しかし、20台を超える大型医院でも、ほとんど待たされたというクレームが出ない医院があります。この違いはどこにあるのでしょうか。

待ち時間が長くなる原因は、患者さんが遅刻して診療が遅れることもありますが、主に歯科医師が作り出します。その原因は、①歯科医師の治療の区切りが悪くて長引いてしまったり、②歯科医師の説明時間が長くなりすぎたり、③歯科医師が抜歯などの治療にはまって予想外に時間がかかってしまう、などがあります。そのため、歯科医師に対する対策が重要になります。

今月はドクターが原因の待ち時間対策の例をご紹介しましょう。

1.待ち時間を医師に知らせる:歯科医師は診療に夢中になると時間を忘れがちです。回りにいるスタッフが歯科医師に注意を促しましょう。イエローカード、レッドカード制があります。黄色のポストイットは10分超過、赤のポストイットは20分超過など、サインを決めて「失礼します」といって歯科医師の目に入るディスプレイに貼りつけるのです。これは患者さんに悟られないためです。歯科医師はポストイットを見ると、次の患者さんのために治療をいったん終わらせて次回の説明に入ります。そのカードが5枚溜まると、迷惑をかけたスタッフにお菓子を買ってくる、おやつ代の罰金を払うなどのペナルティを設定すると、スタッフの苛立ちも多少は解消されるほか、歯科医師も反省して気をつけるようになるでしょう。

2.急患は応急処置だけとして20分以内で済ます:急患は予約時間を狂わせる最大の原因です。当院で治療したインレーやCRなどの脱離の急患は優先的に対処する必要がありますが、抜髄急患で飛び込んでくる患者さんは、もともと口腔内に対する意識が低い方なので、丁寧に治療しても中断したり、遅刻してきたり、無断キャンセルなどにつながっていきがちです。よほどの場合でなければ、検査、診断と応急処置にとどめて次回の予約に送りましょう。そして次回、時間通り来院してくれたときに、丁寧に治療しましょう。

3.時間がかかる処置は時間的に余裕がある曜日や時間に集める:時間がかかる処置を診療の最後にもってくるのは最悪です。患者さんもスタッフ達も不満を抱くからです。時間のかかる処置はできるだけ患者の少ない時間に集めましょう。

4.とにかくユニットに通す:患者を待合室で15分以上待たせたら、とにかくユニットに通します。その後、5分以内に医師かスタッフが声掛けをして、うがいをしていただきましょう。それだけで患者は通された気持ちになってくれます。逆に5分以上待たせると、不安になって院内を観察し始め、クレームに結びついたりしがちです。「待ち時間を長くする真犯人は歯科医師だ」、ということを自覚して遅れないシステムを作っておきましょう。そして、10分もお待たせしたら歯科医師から患者さんに謝りましょう。すぐに患者さんの怒りが治まります。      

以上