新型コロナウイルス感染症で飲食店は重大な影響を受けています。しかし、なかにはマクドナルドなどこの時期に繁盛している飲食店もあります。飲食店を健全運営するための原則=繁盛店の絶対条件は「QSC」といわれています。飲食店を健全に運営するために重要なのは、まず、Quality(クオリティ):料理の質そのものです。おいしくなければ来店してくれないからです。そして次にService(サービス):接客サービスのレベルです。きちんと接客してもらえると感じのよいお店と受け止めてもらえ、リピーターがつきます。そして最後に、Cleanliness(クレンリネス):お店を清潔に維持していくことです。いくら料理がおいしくても、スタッフが笑顔で接客してくれても、不潔で食中毒になりそうな飲食店に通い続けるお客さんはいないでしょう。

歯科医院では飲食店以上にクレンリネスが重要です。それは、「患者さんには受けている医療サービスが良いのかどうかわからない」からです。患者さんは歯科医師が上手と信じて来院してくれていますが、それは歯科医師やスタッフ、院内のイメージで判断しているだけなのです。よい歯医者というイメージは、歯科医師やスタッフの接遇とクレンリネスで左右されるのです。

患者さんは、きちんと初診カウンセリングをしてもらうと「自分の希望や悩みまで受け止めてくれる感じのよい歯科医院」と受け止めてくれるでしょう。ところが院内に清潔感がなく、例えば待合室のソファの下にごみが溜まっていたら…、患者さんは「なんだか不潔な歯科医院だな、感染対策は大丈夫かな」と感じてしまうでしょう。新型コロナウイルス感染症で世の中が過敏になっているときに、院内感染対策のレベルを疑われると患者さんは来院しなくなるでしょう。

クレンリネスのポイントは、日ごろからの「汚れる前にキレイにする」という考え方です。

当社のあるクライアント歯科医院に、中途採用に応募してきた歯科衛生士が見学にきました。その歯科衛生士はスタッフルームとバックヤードを見て「汚いですね…」とつぶやいたそうです。主任は恥ずかしさでいっぱいになったそうです。そして、ミーティングで掃除の仕方を話し合いました。その結果、次の「汚れる前にキレイにする」「いつも清潔さを維持する」ための対策を取り決めました。毎日の行動と心がけが大切だからです。

①床の掃除は診療終了後または朝2人一組で、一人が電気掃除機をかけ、その後ろからもう一人が固く絞ったモップをかけていく。これで毎日床をきれいに維持できます。

②ユニット回りは、担当制にしてチェックシートで管理する。自分の担当するユニットを毎日丁寧に清拭していれば、いつもきれいで掃除時間も次第に短くなっていきます。

③スタッフルームとバックヤードは掃除のあと回しになることが多く、ものやゴミであふれがちです。当番制にしてチェックシートで片づけの漏れ落ちがないようにし、毎朝掃除機をかけることにしました。きれいだと汚しにくくなります。自然にすぐに片づけるクセがつきました。

④患者さんの椅子に座ってチェックする。必ず朝、患者さんが座る椅子やユニットに座って、回りを点検するようにしました。術者の視点と患者さんの視点では角度や高さが異なるからです。

患者さんに選ばれるためには、汚れる前にキレイにする「見せる清潔管理」をすること、そして、患者さんに感じさせる感染予防対策をすることが大切です。

以上