【コラム】

オリンピックが1年延期になりました。
これで1年待てば、すべて元通りになるという期待もあるのですが、
新型コロナウイルスは感染拡大が続いており、ますます先が読めない展開になっています。
首都封鎖もあり得るとのことです。そうなると、都内で開業している歯科医院すべてが大きな影響を受けてしまいます。

すでに在宅勤務の要請によって都心の歯科医院では、患者であるサラリーマンやOLが減少し、来院患者数が減少しています。
さらに、大阪と兵庫、東京と首都圏各都市との移動の自粛要請がでています。
都心の医院は首都圏全体から患者を集めているので大きな影響を受けるでしょう。

地域密着の医療提供体制を維持するために、何らかの対策が不可欠だと思います。

コロナウイルス感染予防のため、3月29日に開催を予定しておりました、歯科経営改善ゼミナール「高齢化社会と在宅歯科の導入対策」を中止いたしました。

変えて、ホワイトクロスによるWEBライブセミナーとして、開催する計画です。
日時など決まりましたら、追ってご連絡申し上げます。
なお、現在のところ、次の歯科経営改善ゼミナールについては、計画通り開催の予定です。
よろしくご参加いただきますようお願いいたします。

■■2020年度 「歯科経営改善ゼミナール」プログラム■■
                   
4月26日  新人接遇研修「輝く歯科スタッフになるために」
・接遇アドバイザー河野由美子による新人向け接遇訓練です。
会場を都内から変更しました。
プロミティあつぎ D会議室 https://www.promityatsugi.com/access
神奈川県厚木市中町4-16-21プロミティあつぎビル8階 本厚木下車すぐ
TEL 046-221-7838

5月24日  「歯科カウンセラー養成講座」
・スタッフを1日で、歯科カウンセラーに養成します。
歯科医師からスタッフに自費説明を振れるようになる、心理学をベースとした、歯科カウンセラー養成セミナーです。修了証を発行します。

6月28日  M&D経営塾「分院経営の成功対策を考える」
~医療法人スワン会元理事長 鈴木純二先生~
大型医院をファンドに売却され、注目を浴びている先生です。
大型化と分院経営の成功ポイントを、事業承継まで含めてお話いただきます。

7月19日  「診療契約の知識とトラブル対策の実務」
・歯科診療契約によってどんな責任と義務を負うのか、
医療事故や理不尽なクレームに対してどう対応するか、実務的な知識を解説します。  

9月13日  「スタッフが活性化する賃金規定の作り方」
・職能資格制度、役割資格制度など、歯科医院の実態に即した賃金規定の作り方を解説します。

10月25日 「歯科カウンセラー養成講座」2020年第二回

11月22日、23日 究極の自費話術教室セミナー 2020年第二回

11月29日 「スタッフが活性化する人事評価の導入対策」
・冬期賞与のための人事評価の導入対策です。ケーススタディを中心に、歯科衛生士、受付助手の人事評価表を差し上げます。

12月20日 「スピードスタートのための開業対策」
・2021年に開業をめざしている歯科医師のために、成功する開業準備と、
スピーディに立ち上げるための対策を解説します。

【会場】 飯田橋レインボービル:東京都新宿区市谷船河原町11 
Tel 03-3260-4791 JR・地下鉄飯田橋駅5分
【お申し込み】
https://md-management.jp/improve/

【お知らせ】
※歯科経営改善ゼミナール DVD講座のお知らせ
https://md-management.jp/dvd/

                           
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では、メルマガを始めさせていただきます。

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【メルマガの主旨】

優良な医療機関の売上向上、患者数増加は社会に役立つ使命です。
そして、売上や患者数を増やすためには、医療サービスとしてのマーケティング対策が必要です。

このメルマガは、歯科経営に絞り込んだ狭い専門領域のメルマガです。
優秀な診療技術を持ちながら、売上と患者数の減少に悩むドクター、あるいは、新規開業して早期に売上と患者数を増やしたいと考えているドクターのご参考にしていただければと思います。

みなさまのご期待に応えるため、少しでもお役に立つ内容の濃いものにしたいと考えております。

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【発行周期】 原則として、第2、第4月曜日 
【発行者】 木村 泰久
(社)日本医業経営コンサルタント協会 認定登録医業経営コンサルタント
株式会社 M&D医業経営研究所 代表取締役
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成功する!歯科医院のマーケティング対策 第396号

■1.「BCPを検討しよう」

BCPとは、Business continuity planningの略で、事業継続計画のことです。

地震や台風などの災害や重大な事故などで医療の継続ができなくなる場合に備えて、医院の事業を継続するための計画を作っておくことです。

今後も大阪と兵庫の間や東京と首都圏各都市との移動の自粛要請が続くと考えられます。
都内の歯科医院は、千葉、埼玉、神奈川など首都圏の各地から患者を集めています。
首都封鎖まで検討される事態になっていますが、そうなると、都内で開業している歯科医院すべてが大きな影響を受けてしまいます。

すでに在宅勤務の要請によって都心の歯科医院では、サラリーマンやOLが減少し、来院患者数が減少しています。
逆に、郊外の歯科医院では、都心の歯科医院に通院できなくなったサラリーマンやOLが急患で来院されています。
不安感から定期健診の予約を1ヶ月先などに延ばす患者も増えてきました。
この結果、歯科衛生士の予約枠が空き始め、歯科医師の予約枠が混雑し始めています。
急患対応も入らなくなる可能性があります。

このため、今後の対策を協議しておく必要があります。

■2.他産業でいえばどんなこと?

企業では、地震など災害が起きたときに事業を継続するための計画を、あらかじめ策定しています。
これは、東日本大震災で東北の工場が操業できなくなって部品の供給が止まり、全国の工場が操業できなくなったことから、万一の場合の供給体制などを検討しているものです。

総合病院や介護施設などでも、地震や洪水、台風の避難指示がでた場合の対応を準備しています。
今回のコロナウイルス感染予防対策についても、今後の推移を予測して、同様の対応計画を準備しておく必要があるのです。

■3.歯科医院ではどうすればよい?

例えば、次のように行政の指示や要請に応じて対処を計画しておく必要があります。
ぜひ、自医院のBCPを話し合っていただきたいと思います。

1.外出禁止指示:首都封鎖などです。
患者がゼロになり、スタッフも出勤できなくなる可能性があります。
公共交通機関が停止される場合と、そこまでは行かない場合が考えられます。

1)公共交通機関が停止されても、徒歩や自転車で来院できる患者さんは来ると考えられます。
そのため、車で通勤できる医師とスタッフで急患対応体制をとって、シフトを組んで出勤調整するなどの対策が必要です。
2.)医師、スタッフの休日の感染予防のための外出抑制が必要です。

2.首都圏や近畿圏の主要都市間の移動自粛要請:
公共交通機関は動いていますが、患者が医院の近郊だけになると考えられます。
都心の歯科医院は患者数が激減する可能性があります。

1)患者数をみながら、通常の50%~70%程度の出勤体制として、有休の指定取得などによる出勤調整を行なう。
2)医師、スタッフの休日の外出抑制が必要です。

3.感染爆発:感染した患者さんが普通に来院する事態となった場合。
1)医師とスタッフの感染予防のために、毎日の全員検温体制が必要です。
2)全ての患者さんの検温が必要です。
3)医師、スタッフの感染予防のために休日の外出抑制が必要です。

4.マスク、グローブ、アルコールなど消耗品の備蓄
1)最低2ヶ月分程度の在庫確保と、緊急購入先の確保が必要です。
2)マスク、グローブ、手指消毒液など、上限価格を設定して、医師・スタッフ各自が街でみつけたときに少量でも購入して持ち寄り、医院で買い取るなどの買い集め対策を
検討する必要があります。

5.発病時の対策:
1)医師やスタッフの体調不良の場合
すぐに自宅で静養する。3日経過しても回復しない場合は医療機関を受診する
(インフルエンザと違って軽症期間が長いためです。インフルエンザは2日目ぐらいに39度程度の熱が出るので、すぐに医療機関を受診します)

2)家族の感染が明らかになった場合 
医師やスタッフのご家族が、医療機関を受診して感染が明らかになった場合は、本人も潜伏期間の最低5日間から、できれば14日間休む。有休消化とする。

3)医師やスタッフ本人の感染が明らかになった場合
最低1日は休診して院内を消毒する。
その後、感染した医師やスタッフに接触していない者による診療体制で、診療を再開する。
保健所の指示で消毒する場合は休診期間が長くなる可能性があります。

4)上記の事態に備えて、全ての医師、スタッフが緊急的に出勤できる体制をとっておく。

■4.まとめ

これらの対策をたてる前提として、今後の推移を予測しておく必要があります。
これはあくまでも私見ですが、まず、新型コロナウイルスは、夏になっても感染力は弱くならないと考えられます。
それは、シンガポールやタイ、フィリピン、ベトナムなど高温多湿の国々や、今は夏のオーストラリアやニュージーランドでも感染が広がっているからです。

根本的な対策になるのは予防ワクチンの開発ですが、18カ月かかります。
つまり、完成は再来年2022年の春以降になります。そして、そこから量産を開始して、世界中で広く予防接種ができるまでには、最短でも半年以上かかると考えられます。
ですから本格的な予防体制が整うのは2022年の秋以降ということになります。

しかし、現在のような不安定な状態はいつまでも続きません。
それは、世界中で既存薬での治験が進んでいるからです。
恐らく、この7月頃には治療薬が確立すると思います。
すでに富士フィルムの開発したアビガンの薬効が確認されています。
これは政府がインフルエンザのパンデミックに備えて大量に備蓄しているインフル薬で、市販されていない薬品ですが、ウイルスの増殖を抑える効能があります。

これらの既存薬の生産と医療機関での治療体制が確立すれば、感染した疑いのある軽症者にも投与できるようになります。
つまり、7月頃からはCOVID19はそれほど怖れる病気ではなくなると考えられるのです。

その結果、外出抑制などの施策も次第に緩和され、元通りの状態に近づいていくと予想されます。
つまり、4月、5月、6月、7月の4か月を耐えれば、出口がみえると考えられるのです。

新型コロナウイルス感染症COVID19は、感染力がインフルエンザより弱く、致死率もそれほど高くありません。
私たち医業経営コンサルタント仲間の間では、「インフルエンザ武漢C型と呼ぶのが正しいのでは」などと冗談で話し合っているほどです。

イタリアで起きている大量の感染死は、
検査や軽症者の入院などで医療提供体制を大きく超える患者が殺到した結果、重症者が放置される事態に至ったためです。
米国でも感染者と死者が急激に増加していますが、インフルエンザで年間2万人が死亡している国です。
国民皆保険ではないために手遅れになるからです。
低所得層の高齢者や有病者を中心に、今後も感染者と死者が増加していくと推測されます。
とはいえ、私は米国でもインフルエンザによる死者数を超えることはないのではないかと思っています。
日本では、いまのところ急激な患者数増大をコントロールできています。
医師数もベッド数もぎりぎりのところで確保できているので、イタリアのような状態には陥らないと予測されます。

COVID19の感染症の特徴は、比較的安定した症状がしばらく続き、基礎疾患がある場合に急激に症状が悪化して呼吸困難に陥ることです。
特徴は37.5度程度の微熱と、乾いた咳が続き、倦怠感がでるというもので、初期は通常の風邪と見分けがつきません。
ただし、一週間以上もこの状態が続くようなら感染を疑ってみる必要があります。
行政が「一週間は自宅で療養して欲しい」と要請しているのは、検査に充分な医師やスタッフを回せないためです。
インフルエンザの場合は、2日目ぐらいに39度以上の高熱が出ますので違いが分かります。
この場合はすぐに医療機関を受診しないと、薬が効かなくなり、死亡リスクも出てきます。

COVID19で重症化する危険のある人は、
1.喫煙習慣のある人、
2.糖尿病の人、
3.高血圧や心臓疾患のある人、
4.抗がん剤や放射線治療で免疫力が低下している人、
5.呼吸器系の疾患を持つ人、
6.人口透析を受けている人、
7.高齢や低栄養で抵抗力が落ちている人などです。

若い人は感染しても微熱がでるくらいで気づかないことも多いようで、これが元気な感染者の外出によって感染が広がる原因になっています。

逆にいえば、歯科医院は医師、スタッフともに50歳未満の若い人が多いので、それほど健康状態を心配する必要はないと考えられます。
しかし、医師やスタッフが感染すると、患者さんを感染させてしまう危険がでてきます。
高齢の患者さんも多く、ハンドピースの滅菌と患者ごと交換、グローブの患者さんごと交換など、これまでと同様の院内感染防止対策を継続して、
万全の体制で感染リスクの低減を心がけていただきたいと思います。

以上