1.はじめに


なぜ、予防歯科が重要なのでしょうか。
それは、予防が「医院を安定させ、患者さんの健康を増進する土台」になるからです。

予防歯科が増えると、定期来院患者が多くなり、予約が安定して急なキャンセルや売上の波が少なくなります。
さらに、患者さんとの関係が長くなり信頼が深まります。そして、SPT(歯周病安定期治療。6月からは歯周病継続支援治療)には診療報酬が厚く設定されており、1回で1万円程度の売上になります。
つまり、予防が増えると経営が安定するのです。

そして、患者さんにも大きなメリットがあります。
それは、むし歯や歯周病の予防になるだけでなく、インフルエンザやコロナウイルス感染症の予防、さらに、糖尿病やアルツハイマー型認知症などの予防効果が証明されているからです。

例えば、歯科衛生士による口腔ケアを受けた人のインフルエンザの発症率が、本人や介護者だけから口腔ケアを受けた人の10分の1になったというデータがあります。インフルエンザも新型コロナウイルスも、ほぼ同じような経路で感染していきます。口腔ケアのウイルス感染症に対する予防効果が証明されているのです。

また、歯周病をきちんと治療すると、糖尿病も改善するケースがあることが明らかになっています。予防歯科を続けていくことで、糖尿病の重症化予防の効果が得られるのです。


2.患者さんの意識はすでに変わっている


最近の患者さんの多くは、「痛くなってからでは遅い」、「できるだけ歯を削られたくない」、「自分の歯を一生使いたい」と考えています。
このため、予防歯科が定着すると患者さんに感謝される機会が増え、う蝕や歯周病の急性症状によるお痛みやクレームなどの緊急対応が減ってきます。
その結果、歯科医師だけでなく、歯科衛生士などスタッフの満足度も向上していきます。

また、予防歯科は、医院を守るため、売上のためだけのものではありません。患者さんの人生に長く関われる仕事です。特に歯科衛生士が、「あなたに診てもらえてよかった」の一言を聞けるのが予防歯科です。

しかし、歯科衛生士が丁寧に説明しても、他のスタッフが予防歯科に触れなければ、患者さんの心に届きにくいのが現実です。予防歯科は、「誰か一人が頑張るもの」ではなくチームで増やしていくものだからです。

予防歯科で最も大切なのは、「患者さんに、同じメッセージが、違う立場から繰り返し届くこと」です。歯科衛生士、歯科助手、受付それぞれが役割を理解しておきましょう。
受付さんや助手さんは、「予防歯科」というと難しい説明や専門知識が必要と思いがちですが、大切なのは、「専門知識」より「考え方」と「伝え方」です。予防歯科は「特別なこと」や「難しいこと」ではないのです。


3.まとめ


歯科衛生士は予防の専門家で、定期予防の設計者です。
助手は歯科医師の介助をしながら、患者さんに予防を説明するための潤滑油です。
そして、受付は予防を続けさせるための動機付け担当です。

どれか一つ欠けても予防は回りません。
それぞれのスタッフが、予防歯科の重要性を理解し、患者さんの気持ちになって動機付けを心がけることが大切です。

予防歯科は、う蝕や歯周病の予防効果だけでなく、インフルエンザや新型コロナウイルスの感染予防になり、糖尿病などの成人病の予防効果も証明されていることを、色々なスタッフの口から患者さんにお伝えして、定期的に、長く通院していただきましょう。   

以上