コンサルタントの視点から:「求人広告詐欺に注意しよう」
■はじめに
歯科医師、歯科衛生士の採用が難しくなっているなかで、求人広告詐欺が横行している。
弊社のクライアント医院からも相談があった。
今回は求人広告詐欺の現状と対策をご紹介したい。
■ 求人広告詐欺の実態
まず、どこかで聞いたことのあるような名称の求人広告業者名で電話が入ってくる。
「1か月無料で貴医院の求人広告を掲載するので資料をお送りしてよろしいでしょうか」という。
「最初の期間は無料掲載で、有料になる前に解約すれば費用は発生しません。広告記事は、貴医院の他社に掲出している内容を転載するので原稿作成などのお手間はかけません」と続く。
『歯科衛生士が欲しいし、しばらく無料だし、有料になる前に解約すればいいか』と思って承諾する。
やがて、大手求人広告業者のような資料が送られてくる。
しかし、毎日の診療に追われてろくに資料も読まず、いつしか忘れがちになってしまう。
はっと気づいて解約しようとするが、解約期限や解約方法はわかりにくいところに表示されている。何とか期限に間に合って、電話をかけるがなかなかつながらない。やむなくFAXとメールで解約を送信しても広告が掲載され続け、やがて「有料契約に移行した」として数十万円の求人広告の請求書が届く。
■なぜ、歯科医院が狙われるのか
歯科医院が狙われるのは、常態的に人手不足で、特に歯科衛生士の求人ニーズが強いほか、個人医院の院長は日常的に診療で忙殺され、求人広告を出したくても出す時間がなく焦りがあることを知っているからだろう。
さらに、歯科医師は契約内容のチェックが不十分になりがちで、無料という言葉に飛びつきやすい。法律や契約の専門知識もないため、トラブルへの対応力も弱く、泣き寝入りになりがちである。つまり、絶好のターゲットなのだ。
■求人広告詐欺の問題点と対策
求人広告詐欺にはいくつか注意点がある。
まず、法人対法人(事業者間)契約となるため、消費者契約法やクーリングオフ制度が原則として適用されないため後から契約取り消しをするのは困難になる。
そのため、請求書が来ても、詐欺性が疑われる場合は支払わないことが重要である。一度支払ってしまうと「契約と代金の支払を承諾した」となって簡単に取り戻せない。
このため、勧誘時のやり取り(電話の録音・メール・FAX・メモなど)、広告チラシ、契約書・申込書・規約全文、求人広告の掲載実態(本当にその会社の求人サイトに掲載されていたか)などの資料を保存しておく。
そして、詐欺だと分かったら、内容証明で「支払の拒絶」「契約取消」の意思表示をする。たとえば、次のような内容である。
「〇月〇日付けで、貴社に対して1か月無料での自動更新条件付きの広告掲載契約を締結したが、自動更新期日前の〇月〇日付けで、電話とFAXにて解約を通告した。しかし、貴社は一方的に広告の掲載を続けて掲載料を請求してきた。当方としては期日までに解約を通告済みであり、支払を拒絶する。」
詐欺広告についてはいくつか業者敗訴の判例がある。このため業者から訴えてくる可能性は小さいと考えられる。
また、資料を揃えて内容証明で上記の意思表示をして、確定日付の記録を残しておけば勝訴できる可能性が高い。
■まとめ
歯科医療人材の求人広告には、「ジョブメドレー」と「グッピー」というガリバーが存在する。求職する歯科衛生士や歯科助手なども大部分がこの両サイトから応募してくる。他の媒体から応募してくるケースは稀である。ある程度の募集広告費がかかるが、この両社に出すのが無難だろう。
考えてみよう。わざわざ聞いたことがあるようなないような名前の求人広告会社のサイトから応募してくる歯科衛生士や歯科助手がいるだろうか。
また、「〇か月無料」などと書いてある求人広告ほど“高くつく”可能性が高い。歯科の求人難につけこむ求人広告詐欺に注意しよう。
以上

