9月1日は防災の日です。
近いうちに東南海沖地震が来るという予想があり、大規模な自然災害に対する備えも必要ですし、火災など身近な災害に対する備えも必要です。

歯科医院は、患者さんがユニット上に座ったまま治療を受けていたり、ビルの上層階に入っていたりするケースが多く、安全な避難と誘導が求められます。年に一度は避難訓練を実施しましょう。

1.事前準備:

①防火管理者を選定します(通常は院長です)。その下に、診療室、待合室、消毒室、医局、スタッフルームなど、それぞれの場所に防火責任者を選任しましょう。

②次に通報係、初期消火係、避難誘導係、救護係を選定します。通報係は、消防署に火災発生、あるいは被害発生を通報する係です。初期消火係は、消火器やバケツなどによって初期消火をする係です。避難誘導係は、患者さんが安全に避難できるように誘導する係です。救護係は、怪我をした患者さんに応急手当を処置して、避難後に救急車などに乗せる係です。

③訓練計画を立てます。できれば、消防署へ事前に「○月○日に訓練を行います」と連絡しておきましょう。消防署から立ち会いをしてくれる場合もあります。

2.訓練の目的と想定の決定:

避難訓練の目的と想定する災害を決めておきます。例えば「火災発生時に、高齢の患者さんを含め全員が安全に避難する訓練と消火器での初期消火訓練」など。

3.当日の訓練の流れ:

①火災発生の想定。誰が発見者になるか決めておき、「火事だー!」と声を出して、他の職員・患者さんに周知します。非常ベルや館内放送があれば作動させます。

②通報:119番に通報(実際に通話しない)、落ち着いて、住所・火元・人数・状況を伝えます。

③初期消火:事前に消火器の場所と使い方を全員に知らせておき、消火器の本数、使用期限をチェックしておきます。消火班が速やかに初期消火(消化するマネ)をします。受付は放火などの不審者を想定して、顔に向けて噴射し撃退する練習(噴射するマネ)もしておきましょう。

④避難誘導:患者さんが歯科用チェアに座ったままのケースも想定し、迅速に誘導します。患者さん役には、高齢者を想定して目隠しをしてもらい、介助しながらユニットを上げたままの状態から降りていただき、避難路を通じて院外まで誘導しましょう。目隠しをして避難すると、かなり怖いことが体験できます。エレベーターは使用禁止。階段の使用を徹底しましょう。避難経路の途中に障害となる荷物などが置かれていないか日頃から確認しておきましょう。

⑤救護:患者さんが怪我をしたという想定で応急処置、介助しながら避難します。

⑥人数確認・報告:避難後は全員の無事を確認し、責任者が消防署に報告する練習をします。

⑦訓練後の振り返り:良かった点、改善すべき点を医療安全委員会の記録として保管しましょう。

4.まとめ

医療機関には患者の生命や身体を守る義務(民法第709条の不法行為責任や契約上の義務)が課されているため、災害時には患者の安全を最優先することが求められます。
次に医院の安全確保、最後にスタッフ達の自宅の安全確保という順序で対応することになります。また、医薬品や医療機器の適切な保管に留意が必要です。                               

以上