マーケティング・ヒント-239「夏のスメハラに気をつけよう」
先日、クライアント医院から、勤務医の体臭について相談を受けました。
ある勤務医の先生が臭いというのです。軽い腋臭があるらしく少し暑くなってきてから臭うとのことでした。
これが、スメルハラスメント、つまり臭いによって他人を不快にさせる被害です。
これから汗の季節になります。スクラブを着用していると体臭が外にでやすいのです。
体臭は白衣を変えることで多少は軽減させることが可能です。
スクラブは露出が大きいので体臭が外に出やすいのですが、ケーシータイプは首に襟が立っているので体臭が表にでにくくなります。また、Yシャツとネクタイを着用して白衣を着用するのも体臭が外にでにくくなる方法です。
ケーシーの場合もYシャツとネクタイ+白衣の場合も必ず肌着を着用してもらいます。肌着が汗を吸収するので体臭が表にでにくくなるからです。
そして大切なのは、本人にスメハラがあることを伝えて、対策を講じるように伝えることですが、これが意外に難しいのです。
以前、私のクライアント医院で、在宅歯科診療をしているチームのコーディネーターと面談した際、彼女は同行する歯科医師の体臭で毎日気が狂いそうになるぐらい辛いので、退職を考えているということでした。
その先生は、40歳台なかばの歯科医師で、私が普通の距離で話していても感じない程度でしたが、訪問車で一日中一緒にいると絶えられないほど臭いがこもるということでした。
ところが、彼に話す段になって院長と2人で困ってしまいました。本人は自覚がないので、プライドを傷つけずにすぐに実行してもらえるようなアドバイスをどうすればよいか迷ったのです。
「あなたが臭くて、スタッフに迷惑をかけている」ということを、彼の自尊心を傷つけずに伝える必要があるからです。
そこで、彼を呼び出して、女性スタッフがスメハラを訴えてきたことを伝え、男性のたしなみとして朝シャワーを浴び、コロンやデオドラント剤をつけてから出勤するようにアドバイスしたのです。
ところが、その先生は自分が臭うと言われたことに対して驚き、反論してきたのです。「そのスタッフと自分とどっちが病院にとって大切なのか」とまで強く問いかけてきました。自分が体臭で迷惑をかけているということは、男性にとってもそのぐらい受入れられない事実なのです。
彼には、毎朝入浴してから出勤すること、コロンの商品名も伝えてアドバイスしました。彼は素直な性格で翌日から実行してくれ、スタッフの臭いに関する不満は解消したのです。
女性の事例もあります。
ある歯科医院に20歳の受付が入ってきました。可愛い人です。
ところが、受付の先輩から彼女が来てからカウンターのなかが何か臭うというのです。軽い腋臭があるようでした。本人は全く意識しておらず笑顔で受付業務を行なっています。
さて、彼女に対してどう伝えれば良いか困りました。そして、受付主任と弊社の接遇アドバイザーから女性同士で伝えてもらったのです。
内容は、シャワーを浴びて出勤すること、デオドラント剤や除菌ができる制汗剤、クリームなどを使うことなど具体的な対策です。
すると、彼女は、「ありがとうございました。知らずにいたら、とんでもない恥をかきつづけるところでした」と感謝してくれました。
スメハラは、誰もが加害者になる可能性があります。自分自身についても見直してみましょう。
また、職場でスメハラに悩んでいる場合は早めに上司に相談しましょう。相手のためにも、早い段階で伝えてあげることがお互いのために大切だからです。
以上