安全安心の医療が求められる時代になり、患者さんは医療機関にかかるときも清潔感を重視して選んでいます。今回は清潔感の重要ポイントを考えてみましょう。

  • 医療者の清潔感:最も重要なのが、院長や歯科医師、歯科衛生士、スタッフの清潔感です。特に歯科医師は、ヒゲ、髪型、鼻毛、爪など身体の清潔感、白衣のシワや汚れ、体臭などに留意する必要があります。歯科医師がシワだらけで血液やパウダーで汚れた白衣を着て、ヒゲをはやして体臭が気になるようでは、女性患者はすぐに転院してしまうでしょう。
  • スタッフの清潔感:白衣やエプロンは毎日洗濯しましょう。とくに白衣のスカートやズボンの足元が汚れていると不潔に感じます。受付は患者さんが最初に出会う医療人です。必ず毎日洗濯しアイロンをあてて清潔感あふれる外見を保ちましょう。
  • ユニットの清潔感:ユニット周りが汚れていたり雑然として清潔感がなかったりすると、患者さんは安心して治療を受けられません。特に気をつけるのはスピットンとユニットのそばの棚やテーブル周りです。パソコンの脇にコード類が雑然と置かれていると不潔に見えてしまいます。テーブルや床に血液や薬品などが散っているともうダメ。朝と午後一番には必ずユニットに座り、患者さんの目線で周りを点検して、気づいたらすぐに片づけましょう。
  • 器具の滅菌消毒:最近は健康雑誌やインターネットの記事を読んで歯科医院選びをする患者さんが増えています。そういった患者さんの医院選考項目の一つに器具の滅菌消毒があります。ハンドピースをはじめ患者さんの血液に触れる器具は全て滅菌しておく必要があります。しかし、残念ながらきちんと滅菌している歯科医院は少ないのが実情です。DACユニバーサルやプチクレーブなどを使用して滅菌したうえで、次のようにアナウンスしましょう。「ハンドピースはむし歯や歯周病の患者さんのむし歯や歯周病にかかった場所を削りますが、外側をアルコールなどで拭くだけで滅菌しないまま次の患者さんに使用する歯科医院が多いのです。次の患者さんにむし歯菌や歯周病菌を噴射するだけでなく、肝炎やHIVに罹患している患者さんのウイルスも噴射してしまう可能性があります。当院では医療安全を重視し、器具を滅菌して使用しています。当院で安全安心の歯科医療を受けてください。」
  • 院内の清掃と整理整頓:いくら服装が清潔で器具を滅菌していても、お掃除や整理整頓がいい加減では伝わりません。特に消毒コーナーや技工コーナーはスッキリ見えるように片付ける必要があります。カルテや在庫などもきちんと整理整頓していれば、見た目がよいだけでなく、すぐに出すことができたり、余剰や不足などの管理がしやすくなったりします。
  • 無駄話をしない:医師やスタッフが診療室や消毒コーナーで無駄話をしているのは見苦しいものです。会話が患者さんに聞こえていることが多く、小さな声で笑いあったり、ぼそぼそいう低い声は神経質になっている患者さんにとって、自分に対する悪口を言われているように感じて不快感をあたえたり、不信感につながります。

選ばれる歯科医院になるために、清潔域、不潔域の管理や感染対策はもちろん、日頃から清潔感あふれる清掃と片付け、整理整頓ができる体制づくりを進めましょう。

以上