【コラム】

暑い日が続きます。
お盆休みはゆっくり過ごされたでしょうか。
さて、
Instagramをみていたら、驚くような広告が目に飛び込んできました。

「政府告知 2024年7月から、保健省は歯科インプラント補助金政策を実施し、50歳以上の人々は これら30の病院で個人IDカードを使って無料で歯科インプラントを申請できるようになります。」原文のまま。
「病院一覧を見る」をクリックすると、実在する歯科医院のWEBサイトにつながりました。

あきらかに詐欺的な患者誘因であり、広告規制に違反しているのはもちろん、無料インプラントということ自体、犯罪のにおいがします。

実在の歯科医院が、広告業者に依頼したのか、あるいは、この広告自体が、実在する歯科医院への嫌がらせなのか分かりません。

あるいは、クリックするとウイルスに感染させるサイトかもしれません。あまり触らないほうがよさそうです。

いずれにしても異常な広告であることは確かです。
そして、WEB広告規制に抵触することは明らかです。

今回は医療法のWEB広告規制を取り上げたいと思います。

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●自費増大対策セミナーのご案内です。

【2024年度自費セミナー】

1.「M&D歯科カウンセラー養成講座」
第3回10月27日(日)9:30~17:00
受講料:27,500円(税込・昼食込)
会 場:飯田橋レインボービル
定 員:20名
https://md-management.jp/counselor/

ぜひお早めにお申し込みください。
できるだけ、歯科医師と歯科カウンセラーのペアでご参加いただくことをお勧めします。
それは、
歯科医師が1人で説明すると、どうしても押しつけと受け止められやすくなるからです。
適当なところで歯科カウンセラーに説明を振ることで、自費治療を選択する患者が増えてくるからです。
そのための説明の仕方、タイミングなども体得していただけるセミナーです。

2.「ドクターのための究極の自費増大の話術教室」もお勧めです。
次回は、10月13日(日)、14日(祝月)に開催します。

講師は、三浦敏美先生と木村泰久、そして接遇アドバイザーの小山美由紀の3名。
受講生の定員は、たったの6人です。

二日間にわたって、徹底的に自費説明の話術を練習します。
セミナーの翌日に、ジルコニアブリッジを獲得したという電話や、
念願だった1ヶ月100万越えをした、という感謝のご連絡を沢山いただいています。

なお、三浦先生ご登壇は今回が最後になります。
自費率5%の歯科医院を、自費率70%にした極意を体験できるのは、今回限りです。
ぜひ、お早めにお申し込みください。

「ドクターのための究極の自費話術教室」
10月13日(日)、14(祝月)2日間
会 場:【予定】アットビジネスセンター渋谷東口駅前会議室
受講料:275,000円(税込・昼食込)
定 員:6名
https://md-management.jp/conversation/

※歯科経営改善ゼミナール DVD講座のお知らせ
https://md-management.jp/dvd/

※歯科経営改善ゼミナール
https://md-management.jp/improve/

【2024年度 WEBセミナー】 各回16:00~17:30                       
9月19日(木)  第5回「これがポイント!スタッフが納得する人事評価票の設計」
10月17日(木) 第6回「これがポイント!スタッフが納得する賃金制度の設計」

受講料:各回6,600円(税込)
受講方法:オンタイムまたは録画視聴からお選びいただけます。
https://md-management.jp/improve/

       
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では、メルマガを始めさせていただきます。

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【メルマガの主旨】
優良な医療機関の売上向上、患者数増加は社会に役立つ使命です。
そして、売上や患者数を増やすためには、医療サービスとしてのマーケティング対策が必要です。

このメルマガは、歯科経営に絞り込んだ狭い専門領域のメルマガです。
優秀な診療技術を持ちながら、売上と患者数の減少に悩むドクター、あるいは、新規開業して早期に売上と患者数を増やしたいと考えているドクターのご参考にしていただければと思います。

みなさまのご期待に応えるため、少しでもお役に立つ内容の濃いものにしたいと考えております。

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【発行周期】 原則として、第2、第4月曜日
【発行者】 木村 泰久
(社)日本医業経営コンサルタント協会 認定登録医業経営コンサルタント
株式会社M&D医業経営研究所 代表取締役

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成功する!歯科医院のマーケティング対策 

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「ホームページに関する広告規制とは」

【目次】

1.はじめに
2.広告規制の経過と現状
3.広告の定義
4.限定解除要件
5. まとめ
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■1.はじめに

最近はウェブサイトから医療機関を検索する患者が増えています。
ウェブサイトも医療広告規制で規制されていますが、その内容が広く理解されているとはいえません。
知らずに法に触れたり、広告をめぐって患者とトラブルになったりする可能性があります。
今回は、広告規制について解説しておきたいと思います。

■2.広告規制の経過と現状

平成19年の医療法改正で、広告規制はポジティブリスト方式から、包括規定方式に改正され、広告規制の適用範囲や広告可能な事項、禁止される広告の具体例を解説した「広告ガイドライン」が公開されました。
大幅に医療広告の自由度が高まったのですが、美容医療のホームページで過度に受診をあおる表現が増えて消費者の苦情が増えたため、
平成29年に再度医療法が改正され、ウェブサイト等による情報提供も広告規制の対象となりました。
そして、
不適切なウェブサイト等に関する情報を常時監視し、抵触する事例があれば厚生労働省に報告し行政が迅速に対応するための措置として、ネットパトロールが開始されました。

これは専門業者だけでなく、広告規制に違反するウェブサイトを発見した人が直接ネットから厚生労働省に通報できるシステムです。

令和3年度のネットパトロールによる医療分野別の違反数は、美容医療が66.9%、次いで歯科が14.7%で、合計81.6%を占めています。

広告規制の違反が疑われると、行政機関による報告命令、立入検査が行なわれ、違反の事実が発見されると、広告の中止または当該広告の是正が命じられます。
この時点ですぐに是正して報告すれば処罰を受けませんが、
これを無視したり、再三にわたって警告や改善命令に従わないなど悪質な場合は、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金、さらに、開設許可の取り消しや一定期間の閉鎖命令などの厳格な行政罰が適用されます。
つまり、経営の危機に発展する危険があるのです。

■3.広告の定義
                         
・「広告」は次のように定義されています。

  1. 誘引性:患者の受診等を誘引する意図があること。
  2. 特定性:医師や歯科医師の氏名、医院や病院の名称が特定可能であること
  3. 認知性:一般人が認知できる状態にあること

・広告と見なされないもの
次のものは広告とみなされません。

  1. 学術論文、学術発表等
  2. 新聞や雑誌等での記事
  3. 体験談、手記等
  4. 院内掲示、院内で配布するパンフレット等
  5. 患者等からの申し出に応じて送付するパンフレットやEメール
  6. 医療機関の職員募集に関する広告
  7. インターネット上のホームページ(ただし、バナー広告、費用負担による検索結果の上位表示などを伴う場合は広告とみなされる。)

また「広告とみなされないもの」として列挙されているものがあります。
例えば院内掲示や院内配布のちらしや患者からの求めに応じて送付する資料やメールなどは、不特定多数の人が認知できないため広告として扱われません。
また、医師やスタッフ募集の広告は、患者を誘引する目的でないため医療広告とはなりません。

ただし、広告とみなされないものとされていても、次の点に注意が必要です。
ウェブサイトは、リンクなどが設定されておらず広告とみなされない場合でも、限定解除要件を満たし、ホームページガイドラインに沿った内容にしておく必要があります。

論文や学術発表は日本医学会や日本歯科医学会に属する学会での発表実績であればウェブサイトに掲載しても大丈夫ですが、医療機関が自医院の権威付けのために任意に結成した実態の乏しい学会などでの発表実績を掲載すると規制対象になります。

患者の体験談や手記等もウェブサイトに掲載すると、「客観的事実であることを証明することができない広告」とされることがあります。

新聞や雑誌の記事も、料金を支払って掲載させる記事広告は規制の適用を受けます。また、それをウェブサイトに転載した場合も同様です。

■4.限定解除要件

医療法第6条により、法又は広告告示により広告が可能とされた事項以外は広告してはならないとされ、医療広告ガイドラインで次の限定解除要件を満たした場合に限って広告ができるとされています。ウェブサイトは次の限定解除要件を満たしておく必要があります。

次の場合に、広告規制が解除されることになっています。

  1. 医療に関する適切な選択に資する情報であって患者等が自ら求めて入手する情報を表示するウェブサイトその他これに準じる広告であること。
  2. 表示される情報の内容について、患者等が容易に照会ができるよう、問い合わせ先を記載することその他の方法により明示すること。
  3. 自由診療に係る通常必要とされる治療等の内容、費用等に関する事項について情報を提供すること。
  4. 自由診療に係る治療等に係る主なリスク、副作用等に関する事項について情報を提供すること。

■5. まとめ

ネットパトロールで指摘されると、詳しく違反箇所が記載されてきます。
これを放置したり無視したりするとサイトの閉鎖を命じられたり罰金刑を受けたりすることがあるので、すぐに是正しなければならないのですが、是正報告が受理されるまでに何度かのやりとりが必要で、かなりの手間がかかります。

このため、制作段階から基本的な広告規制のポイントを理解しておく必要があります。
令和5年2月に厚生労働省から公開された「医療広告規制におけるウェブサイトの事例解説書(第2版)」では、広告が禁止される事例、広告可能事項の記載が不適切な事例などが図解入りで詳細に解説されていますので、ぜひご一読いただきたいと思います。

また、制作業者の選定にあたっては、一般の商店やマッサージ店、美容院などを多く手がける業者ではなく、医療広告規制を熟知して医療機関のホームページを多く手がけている業者を選定することをお勧めします。

以上