コンサルタントの視点から:次回改定までに、か強診をめざそう
令和6年4月には、保険診療報酬と介護報酬の同時改定がある。
コロナ後の改定として注目されているが、プラス改定は予想できない。
そのため、保険診療報酬のメリットを享受できる「かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所(か強診)」になることをめざしてみることをお勧めする。
いまからなら来年3月に間に合うからである。
「か強診」になることをお勧めするのには次の理由からである。
- 社会保障費の伸びに歯止めがかからずプラス改定が見込めない。2022年度予算ベースで131.1兆円。一般会計の33.7%を占め、国内総生産の23.2%となっている。財源のメドがつかないまま、年金と医療費が増大していくと予想されている。また、概算医療費総額は令和3年度で44.2兆円となり、対前年比で4.7%増加した。結果的に、これまでのトレンドに戻りつつあり歯止めがかからない状態である。
- 国は予防歯科に力を入れ始めており、「か強診」のSPTなどで優遇されている。背景に、高齢化と歯周病を始めとする成人病の医療費の増大がある。定期的な口腔ケアで口腔内を清潔に維持することで肺炎のリスクが低下し、義歯で噛める状態を維持することで低栄養に陥るのを防止できる。このため、入院患者や介護施設に入居している患者に機動的に訪問して歯科医療を提供できる「か強診」の役割が期待されている。
- 高齢化が進行し外来需要が減少するなかで、国は地域のなかで小児から高齢者まで、患者さんを一貫してケアできる歯科医院を育てようとしている。特に団塊の世代が後期高齢者になる2025 年以降は、入院需要も高齢者施設への入居も増加し、要介護の高齢者も増加していくと予想され、外来需要は急激に減少していくと予想されている。歯科医院経営として在宅歯科の体制を整えることが重要になっている。
- かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所(か強診)は、保険診療報酬でいろいろな加算を算定することができる。これは原価がかからない売上であり利益に直結する。メリットを試算してみよう。
ユニット4台の歯科医院で、1日あたりP重防が10人、SPTの患者が10人、エナメル質初期う蝕を持つ小児が3人とする。
- SPTを毎月算定できる。一般の歯科医院ではなか2ヶ月で算定。
- 歯科疾患管理料に6ヶ月を超えて管理した場合に長期管理加算120点を算定できる。一般歯科は100点。
⇒1日にSPT10人として、2,000円×22日稼働で、44,000円の利益になる。
- 歯周病安定期治療(SPT)に、加算120点を算定できる。
⇒1日に10人として、12,000円×22日稼働で、264,000の利益になる。
- エナメル質初期う蝕管理加算(CE)260点を算定できる。一般歯科のF局は130点。
⇒1日に3人として、差は130点×3人×22日=8580点⇒85,800円
- 5.1+2+3で、毎月合計393,800円の利益。⇒1年では4,725,600円の利益を生む。
「か強診」の施設基準届け出数は令和5年4月現在で12,317件(医療介護情報局調べ)。
歯科医院数約68,000件に対して約18%である。
件数が増えないのは施設基準のハードルが高いためである。
最大のハードルが歯科訪問診療の算定回数5回である。
P重防とSPTの合計で30回など算定回数が定められている。
これらは計画的に算定する必要がある。
地域連携に関する施設基準は3項目達成で施設基準を満たせる。
「か強診」の施設基準となる研修や、「か強診」になるための対策セミナーも開催されている。
ぜひ、来年3月までに施設基準を満たしていただきたいと思う。
以上