マーケティング・ヒント-213 受付はなぜ暇そうに見えるの?
ある歯科医院で受付スタッフが、
「“受付にいると暇でしょう”と、いわれるのが辛い。」と言っていました。
別の歯科医院では受付が、
「なかのスタッフが手伝ってくれという。大変なのが分かってもらえないのが悔しい。」と言っていました。
受付と歯科助手を兼務するスタッフに、「受付となかとどちらが大変ですか?」と聞くと、
ほぼ100%「受付のほうが大変です」という回答が返ってきます。
でも、受付はなぜ、暇そうに見えるのでしょうか。
例えばチェア台数4台程度なら受付は1人でしょう。
30分のチェアタイムだと、毎時0分と30分に4人の診療待ちの患者さんが順次来院され、患者さんのエントリー作業が始まります。
月初めなら保険証の確認、アポ帳と診察券の確認、その日のカルテなどの準備を確認します。
初診患者がいると、保険証をお預かりして1号様式を準備し、診察券を作成し、問診票の記入をお願いします。
その患者さんから質問がでることもあります。
そうしている間に、診療が終了した患者さんが順に診察室から出てきます。
患者さんには会計待ちは耐え難い時間ですから、受付は、先生に早くレセプトを打ち込んでいただき、窓口負担を精算して早く帰っていただこうと焦ります。
会計待ちの患者さんには、チェアサイドで次回予約を済ませた患者さんと、受付でアポをとる患者さんが混じっています。
それをカルテや診療メモで確認する必要があります。
それに対応している間にも予約の電話が入ります。
業者さんや技工所からの電話もあります。
困るのは、お年寄りや複数のお子さん連れのお母さんの予約変更の電話です。
対応に10分以上がかかることもあります。
待合室で待っている患者さんの視線が突き刺さります…。
受付が少し落ち着くのは、会計待ちの患者さんのアポ取りが一段落した毎時15分から20分頃でしょう。
そのときに、歯科医師やスタッフも一段落するので、受付の前をとおりかかるのです。
受付が忙しいときは、先生もなかのスタッフも患者さんの処置が開始されて忙しいときです。
ですから先生もスタッフも、忙しくしてバタバタしている受付をみることが出来ないのです。
受付は、いつもパソコンに向かって座っていると非難されることがあります。
しかし、受付はPCに向かう時間も必要です。
初診患者のメール予約や業者や技工所からのメール連絡がきます。
色々なところから雑多なメールが50通ぐらいは来るでしょう。
すぐに回答できるものもありますが、先生に伝えて回答を聞かなければならないものや、
初診の申し込みなどそのたびに予約コンピューターを開いて回答しなければならないものがあります。
1通の返信に5分かかるとしても、10通で50分かかります。
毎日何度かは1時間程度続けてパソコンの前に座っていなければならないのです。
座っているなら、なかの準備や片付けを手伝って欲しいという気持ちは分りますが、メール返信も大切な仕事なのです。
医院を身体にたとえると、受付は医院の口です。
たくさん食べたら胃も腸も忙しいに決まっています。それぞれ役割が違うから、どちらが大変ということはありません。
医院=身体の健康を支えるうえで、お互いに重要な役割を担っているのです。
お互いの立場を理解して、それぞれが思いやりをもって、相手がより仕事をしやすくなるように、心配りや工夫をしていきましょう。
以上