1.はじめに

 みなさんの医院では、患者さんに年賀状を出していますか?若い人達はLINEなどのSNSやメールで年賀の挨拶をする人が増え、企業では虚礼廃止ということで社内での年賀状や暑中見舞いのやりとりを廃止するところが増えてきたため、年賀状の発行部数も大幅に減少しているようです。しかし、中高年の方達は今でも年賀状を送りあっている人が多いようです。今回は、「歯科医院に効果が期待できる年賀状の使い方」を考えてみましょう。

2.いくら費用がかかる?

 歯科医院には、定期的に予防で通院している患者さんや、かかりつけ歯科医として何かあれば来院してくれる患者さんがいます。この方達すべてに年賀状を送ると、いくらかかるでしょうか。

 仮に1000人に送るとすれば、年賀状はがきが1枚63円。1000枚なら63,000円です。次に、印刷代がかかります。最近はネットで安価にプリントできるサービスもありますが、1枚30円として1000枚で30,000円。さらに、宛名印刷が1枚10円として10,000円。つまり、10万円以上の費用が必要です。さらに、カルテから患者さんの住所を拾い出すための人件費もかかります。これだけの費用をかける以上、効果を期待したいところです。

3.効果的な出し方とは

 セールスの心理学に「返報性の原理」があります。これは、人は相手から何かしてもらうと、御礼の行動をしなければならない、と考える心理です。年賀状をもらうと、お返しを送らないと気が済まないという体験をした方も多いと思います。これを工夫するのです。

1)歯科衛生士が担当患者に送る

 SPTやP重防で定期的に通院してくれる患者さんは大切です。この患者さんたちに、担当の歯科衛生士から年賀状を送るのです。必ず手書きでひと言添えてください。例えば、「今年もよろしくお願いいたします。」だけでも大丈夫ですが、「コロナ禍が不安ななか、いつも通院ありがとうございます」など、心のこもった手書きの筆跡が返報性の心理を刺激します。担当制でない歯科医院は、院長と歯科衛生士達の連名でお送りしましょう。継続的な来院動機につながります。

2)紹介カードを兼ねる

 年賀状の下、あるいは宛名面に紹介カードを添えておくと、返報性の原理で、お友達やご家族をご紹介してくれるかもしれません。歯科衛生士からのひと言を書けるようにしておきましょう。 

4.まとめ

 年賀状をもらった患者さんは、送ってくれた歯科衛生士の名前をみて、「丁寧な人だな」と感じてくれると思います。そしてそれが、信頼関係につながっていきます。今から準備をしておきましょう。ただし、気をつけていただきたいことがあります。それは、無断キャンセルや遅刻常習者やクレーマー患者さんには絶対に送らないことです。カルテをよくみて、きちんと来院してくれる患者さんや、最近はみかけないが、以前は良い患者さんだった方などにお送りしましょう。

以上