マーケティング・ヒント-206 保護者の同伴をお願いするのはどんな場合?
ある歯科医院から「小学校高学年のお子さまを1人で受診させる親御さんがあり、万一のことを考えると不安です。何歳ぐらいから1人で受診させればよいでしょうか。」という質問を受けました。貴医院ではどうされているでしょうか。また、どうするのがよいでしょうか。
総合病院では、「未成年は必ず保護者同伴」としているところが多いようですが、歯科医院ではまちまちになっているようです。過去に歯科医院で、麻酔によるリドカイン中毒やアナフィラキシーショックで子供が死亡した事故も発生しています。抜去した歯牙が気管に入り窒息死してしまったお子さんのケースもあります。
このような場合、医院としての過失の有無だけでなく、保護者への説明責任を問われます。
では、保護者の同伴が必要な場合とはどんなときでしょうか。
- 歯科医療は外科処置であり、麻酔や薬剤の処方が不可欠です。アレルギーの有無、麻酔による気分不良などの既往、全身疾患の状態、服用薬剤の確認が必要ですので、初診時には必ず保護者の方に確認する必要があります。
- 中学生など10代前半では、歯列の変化が大きいため、年に一度は状況を保護者に説明する必要があります。
- 小学校高学年でも、う蝕多発傾向がある場合など口腔内の状況によっては保護者に状況を説明する必要があります。このため初診時には必ず保護者の同伴を求め、説明する必要があります。
- 抜歯など麻酔を伴う外科処置が必要な場合は、未成年や成人でも保護者に扶養されている場合は、保護者に必要性を説明して承諾を求める必要があります。
- 歯を削ったり、抜髄したりすると元の状態に戻せないため、治療計画を説明する際に保護者に同伴いただいて説明し、同意を得ることが必要です。
- 矯正治療は、期間や費用の問題をはじめ、抜歯を要する場合もあり、未成年者や、成人でも保護者の扶養下にある学生などは、保護者への説明と同意が必要です。
- セラミック修復など自費治療の際は、小中学生や高校生、大学生や成人でも保護者の扶養下にある場合は、契約に際して保護者への説明と同意が必要です。
ただし、次のような場合は、中学生以上は一人で受診させている医院が多いようです。
- 一連の歯科治療が終わり、P重防などの定期検診になった場合、
- 矯正で保護者の同意を得て契約し、装置をセットして月次チェックになった場合。ただし、カリエスが見つかるなど治療が必要になった場合は保護者への説明と同意が必要になります。
- 一般歯科治療で保護者への説明と同意が終わり、根管治療や補綴、修復治療に移行した場合、
基本的に、小学生以下のお子さまは必ず保護者の同伴を求める必要があるでしょう。中学生や高校生、大学生や成人でも、保護者の扶養下にある場合は、保護者に同伴していただきましょう。 ミーティングで患者さんへの告知方法を話合いましょう。ポスターによる院内掲示、初診カウンセリングでの説明、ホームページでの告知など、いろいろな方法があります。
以上