新型コロナウイルス感染者数は増え続け、7月21日に全国で18万4773人となり、過去最多となりました。このため、院内感染対策を重視する立場から、キッズコーナーの遊具や絵本を撤去してしまった医院も多いと思います。

 しかし、絵本は診療待ちの間を過ごすための重要なアイテムです。お子さん達が遊具や絵本を持ってくるといいのですが、荷物が多くなるお母さん達は敬遠しがちです。その結果、機嫌を損ねてダダをこねるお子さんが増えてしまいます。では、どうすればよいでしょうか。

 感染対策がきちんとできれば問題はないはずですが、遊具は毎回アルコールで消毒するのはかなり面倒になります。撤去してもやむを得ないでしょう。キッズコーナーにDVDがあればおとなしく観てくれるお子さんもいますが、多くの場合、お1人だけで、他のお子さんは退屈してしまいます。つまり、15分程度の待ち時間を過ごすには、お母さんが読み聞かせられる絵本が最適なのです。

 しかし、絵本の感染対策を考える必要があります。

 ウイルスには、脂質からできたエンベロープのあるウイルス(エンベロープウイルス)と、エンベロープのないウイルス(ノンエンベロープウイルス)があります。

 エンベロープウイルスは、新型コロナウイルス、インフルエンザウイルス、ヘルペスウイルス、風疹ウイルス、肝炎(B型、C型)、エイズウイルスなどで、アルコール消毒が有効です。

 そして、ノンエンベロープウイルスには、夏に流行する、プール熱、結膜炎、感染性胃腸炎や冬に流行するノロウイルスなどがあります。これらはアルコール消毒が効きにくいため、次亜塩素酸ナトリウムで消毒する必要があります。

 つまり、アルコールと次亜塩素酸ナトリウムで清拭することで毒性を除去できるハードカバーの絵本を備えておき、定期的に交換すること、が対策として考えられます。

 読んだ絵本は受付に戻していただき、患者さんの目の前で、表紙をアルコールと次亜塩素酸ナトリウムで清拭するのです。そして、それをポスターで掲示しておきます。

 「絵本をご覧になったら、受付までご返却ください。安心してご覧いただけるように、毎回、アルコールと次亜塩素酸ナトリウムで消毒いたしております。」

 では、おすすめの絵本はどんなものでしょうか。

 消毒できるようにハードカバーの絵本で、汚れたらすぐに交換できるように、安価で、本屋に出向かなくてもAmazonでいつでも購入できることが必要になります。具体的には、一冊1000円程度で、Amazonで翌日配送が可能なものです。

 ディズニーのアニメ映画の絵本や、きかんしゃトーマスシリーズ、あんぱんまんシリーズ、全国の幼稚園・保育園1000人の子どもたちとつくった絵本「はっはっはくしょーん」「へっへっへくしょーん」「ひっひっひくしょーん」各 1078円、などがお勧めです。ご参考にしていただければ幸いです。                                  

以上