マーケティング・ヒント-182 英語の問診票を常備しよう
コロナ禍で来日する観光客が激減しています。そして逆に、就労目的や留学で来日し、帰国できなくなっている外国人も大勢います。これらの外国人が、歯科疾患に罹患して歯科医院を訪れるときに問題になるのが「言葉」です。貴医院ではどう対応されているでしょうか。
多くの歯科医院では、ポケトークを使用しながら、日本語で一つずつ読上げて応答してもらったり、スマートフォンのアプリ「UDトーク」で交互に話しながら対応したりしていると思います。しかし、本当に相手に伝わっているかの確認は難しいのが実情です。このため、日本語と外国語を対訳した問診票が必要になっています。
一つの方法として、かながわ国際交流財団が作成している問診票を活用する方法があります。
これは、世界中の外国人が、病気やけがをしたときに、その症状を母国語で医師などに伝えられるように制作されているものです。この財団は、1977(昭和52)年2月15日に設立され、世界に開かれた神奈川、世界と結ぶ神奈川を目ざして、人と人、地域と地域の国際交流及び国際協力の積極的な推進、多文化共生社会の実現、国際的な人材の育成並びに学術・文化交流を通じ地域文化の向上を図り、もって県民の福祉の向上と世界の平和と発展に寄与することを目的として設立されたもので、神奈川県の三浦半島の葉山の湘南国際村学術研究センターに本部があります。
住所:〒240-0198 神奈川県三浦郡葉山町上山口1560番地の39
公開されている問診票は、英語、中国語、ベトナム語、タガログ語、ポルトガル語、スペイン語、ベトナム語、タイ語、インドネシア語、カンボジア語、ネパール語、ラオス語、ドイツ語、ロシア語、フランス語、ペルシャ語、アラビア語、クロアチア語の各診療科のものです。すべてがWEBサイトにダウンロードできるようにPDFで公開されています。GoogleやYHOO!から「多言語医療問診票」で検索することができますので、活用してみてください。
ただし、せっかく現地語の問診票を用意しても、外国の患者さんに現地の言語で記入されてしまうと、こちらには読めないし分からないので、基本的に英語版を使っていただくのがよいと思います。これらの問診票は、企業が営利目的で使用するには事前申請が必要ですが、歯科医院などの医療機関が診療の目的で使用するのは本来の用途ですので申請は不要と考えられます。
これから日本の人口が減少していきます。それにつれて、貴重な労働力として外国人が増えてくるとみられます。当然ながら彼らも人間ですので、病気になったり、むし歯や歯周病になったりするでしょう。そのときに頼れる歯科医療機関となることで地域医療の一端を支えることにつながると考えられます。
ただし、不良外国人によるトラブルが横行しています。たとえば弊社のクライアント歯科医院でも、他人の保険証を借りた「なりすまし事件」(後から本人が来院して発覚)や「ATMでお金を下ろしてくる」と外出したまま戻ってこない診療報酬詐欺、さらに「治療が気に入らない」と、待合室で他の患者さんがいるにもかかわらず大声でクレームを言い出したが、医院側は言葉が分からず対応に苦慮した事件などが起きています。受入れるには一定の注意が必要です。
以上