【コラム】
新型コロナウイルスの感染が世界中に拡大し、WHOは遂にパンデミック宣言をだしました。遂に、東京オリンピックの開催が危ぶまれる事態に突入しました。
万一中止になると、数兆円の損害が関連産業に発生するでしょう。また、1年延期になっても、ホテル業界、旅行業界を中心に、今年度決算に大きな影響がでるでしょう。

政府は中小企業向けの特別融資を開始するようですが、実態経済に大きな影響がでてくるのは避けられないと思います。
そのなかで、歯科医院にとっては幸いともいえる事態もおきつつあります。それは、パート労働者や非常勤労働者の解雇や整理が進んできつつあることです。これまで歯科助手や受付要員の採用に苦渋をなめてきたのですが、多少は優秀人材を採用しやすくなる可能性があります。あらためて好不況の影響を受けにくい医療機関の強みが実感できますね。ただし、不況が進むと、予防での定期来院の患者数が減少したり、自費治療が出にくくなったりなどの影響がでる可能性があります。きちんとしたカウンセリングが重要になります。

ところで、コロナウイルス感染予防のため、3月29日に開催を予定しておりました、歯科経営改善ゼミナール「高齢化社会と在宅歯科の導入対策」を中止いたします。
変えて、ホワイトクロスによるWEBライブセミナーとして、開催する計画です。日時など決まりましたら、追ってご連絡申し上げます。なお、現在のところ、次の歯科経営改善ゼミナールについては、計画通り開催の予定です。よろしくご参加いただきますようお願いいたします。

■■2020年度 「歯科経営改善ゼミナール」プログラム■■         
4月26日  新人接遇研修「輝く歯科スタッフになるために」・接遇アドバイザー河野由美子による新人向け接遇訓練です。
5月24日  「歯科カウンセラー養成講座」・スタッフを1日で歯科医師が自費説明を振れるようになる、心理学をベースとした歯科カウンセラー養成セミナーです。待合室に掲示できる修了証を発行します。
6月28日  M&D経営塾「分院経営の成功対策を考える」~医療法人スワン会元理事長 鈴木純二先生~大型医院をファンドに売却され、注目を浴びている先生です。大型化と分院経営の成功ポイントを、事業承継まで含めてお話いただきます。
7月19日  「診療契約の知識とトラブル対策の実務」・歯科診療契約によってどんな責任と義務を負うのか、医療事故や理不尽なクレームにどう対応するか、実務的な知識を解説します。  
9月13日  「スタッフが活性化する賃金規定の作り方」・職能資格制度、役割資格制度など、歯科医院の実態に即した賃金規定の作り方を解説します。
10月25日 「歯科カウンセラー養成講座」2020年第二回
11月23日、24日 究極の自費話術教室セミナー 2020年第二回
11月29日 「スタッフが活性化する人事評価の導入対策」・冬期賞与のための人事評価の導入対策です。ケーススタディを中心に、歯科衛生士、受付助手の人事評価表を差し上げます。
12月20日 「スピードスタートのための開業対策」・2021年に開業をめざしている歯科医師のために、成功する開業準備とスピーディに立ち上げるための対策を解説します。
【会場】 飯田橋レインボービル:東京都新宿区市谷船河原町11 Tel 03-3260-4791 JR・地下鉄飯田橋駅5分【お申し込み】https://md-management.jp/improve/
【お知らせ】※歯科経営改善ゼミナール DVD講座のお知らせhttps://md-management.jp/dvd/
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では、メルマガを始めさせていただきます。
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【メルマガの主旨】
優良な医療機関の売上向上、患者数増加は社会に役立つ使命です。そして、売上や患者数を増やすためには、医療サービスとしてのマーケティング対策が必要です。
このメルマガは、歯科経営に絞り込んだ狭い専門領域のメルマガです。優秀な診療技術を持ちながら、売上と患者数の減少に悩むドクター、あるいは、新規開業して早期に売上と患者数を増やしたいと考えているドクターのご参考にしていただければと思います。
みなさまのご期待に応えるため、少しでもお役に立つ内容の濃いものにしたいと考えております。

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【発行周期】 原則として、第2、第4月曜日 【発行者】 木村 泰久(社)日本医業経営コンサルタント協会 認定登録医業経営コンサルタント株式会社 M&D医業経営研究所 代表取締役

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成功する!歯科医院のマーケティング対策 第395号
■1.「消耗品を大切に使おう」
クライアント歯科医院で、マスク、グローブ、消毒用アルコール、ペーパータオル、ディスポのペーパートレーなどが手に入らなくなっています。これらは毎日使うものなので、在庫がなくなってしまうと大きな影響を受けます。
世の中的にも、マスクが入手しにくくなっています。近所のドラッグストアでも、ここ2週間程度、全く見なくなりました。
そのなかで、先日私のクライアント医院に、患者さんからマスクが寄付されました。こんな時期に、とてもありがたいことです。いかに地域に密着し、患者さんから支持されているかが分かりますね。

■2.他産業でいえばどんなこと?
マスク、グローブ、消毒用アルコールなどを多用する職業は、医療機関以外では、美容院や床屋、レストランの厨房などでしょう。
ただし、これらの職業では、お客さんごとに滅菌消毒して交換するまでの厳密な清潔管理は求められません。
マスクは、患者さんの血液や体液で汚染されているわけではなく、自分の唾液がお客さんや食品、食器などに飛ばないようにするためのものなので、洗剤で洗って再利用することもできます。
グローブも、食器や器具の洗浄などに使うもので、滅菌している必要はありません。最悪の場合でも、手を頻繁に洗って調髪は調理をすれば問題ないわけです。
消毒用のアルコールも、器具や手指の消毒に使うものです。血液やだ液が飛び散るわけではないので椅子や食器を清拭する必要はありません。
逆に言えば、歯科医院ほどこれらの消耗品を必要とし、その減少で影響を受ける産業は少ないのではないでしょうか。

■3.歯科医院ではどうすればよい?
供給が止まっているわけで、在庫がなくなると、緊急避難的な対応を工夫する必要があります。
まず、現在の在庫を確認する必要があります。あと何日持つのか、それを把握することが先決です。
そして、在庫を残すために「緊急対策」として次のような工夫をお勧めします。

1.マスク:自分の使った物は捨てずにとっておき、洗って煮沸し、再利用する。
まず、マスクの使用は1日1枚とします。午前、午後で変えている医院が多いと思いますが、ここは我慢しましょう。
そして、なくなりつつある場合の緊急対策として再利用を検討します。診療に使用したマスクは、外側に患者さんの血液やだ液が付着しており、危険な汚染物です。このため、洗うだけでなく、煮沸や消毒をして細菌やウイルスを不活性化する必要があります。
オートクレーブに入れることもできないので、手軽な方法として煮沸があります。プラスチックの部分が溶けたり、ゴムが劣化する可能性があるので、全てのマスクに使えるとは言えませんが、3~5分熱湯消毒すれば再使用が可能と考えられます。清潔な環境の場所で干して使うとよいでしょう。
他人が使った物は気持ち悪いので、医師やスタッフごとに自分で管理させる必要があります。ただし、市販のマスクは再利用を想定していないので、透過率が劣化する可能性があります。このため、滅菌ガーゼを切って4重にして使用しましょう。煮沸しないで繰返し使うのは、肝炎などの感染リスクがあるので絶対に避けましょう。

2.グローブ:滅菌グローブを患者毎に交換するのが常識ですが、カルテやレセコンなどに触るたびに外して交換する医師やスタッフもいるようです。これは明らかにムダです。
このため、「患者さんごとに交換」を徹底しましょう。カルテなどを触るときは、右手のグローブを外すと裏返しになるので、外側を下になるように左手のグローブの上に被せます。そして、素手でカルテ記入などを終えたら、左手にあるグローブを外します。今度は外側が表になって外れますので、そのまま右手に着用するのです。また、途中で患者さん以外のものに触れたときは、アルコール消毒液で洗浄しましょう。

3.ペーパータオル:1回に1枚で拭ききる、あるいはティッシュで代用するペーパータオルがなくなったからといって、普通のタオルを流しにかけて繰り返し使用するのは、細菌の繁殖と、感染の原因になるので絶対に避ける必要があります。
このため、できるだけ1回について1枚で拭ききるようにし、なくなったらティッシュなどで代用しましょう。ジェット乾燥機は、コロナウイルスをまき散らす危険があるので、使用しない方がよいとされています。

4.消毒用アルコール:洗浄用は次亜塩素酸で代用する。アルコールワッテは消毒や清拭に不可欠です。アルコールの在庫を大切に使うために、ユニットなどの清拭に使用する場合などは、次亜塩素酸で代用しましょう。家庭用の塩素系漂白剤を使って、500mlのペットボトルがあれば簡単に作ることができます。消毒液は商品にもよりますが、水に対して家庭用塩素漂白剤の濃度が0.5~1%になるよう消毒液を入れ混ぜます。市販のものは5%程度のものが多いので1Lに対して20mlが目安です。家庭用塩素漂白剤の濃度は1~12%があるので商品の表記をみて調整してください。

5.ペーパートレー:大きめの滅菌バックを広げてそのままトレーとして使用するペーパートレーがなくなるといって、金属トレーに戻すと、スタッフの滅菌消毒の手間が倍増してしまいます。このため、大きめの滅菌パックに基本セットを入れて、丁寧に破いてテーブルの上に広げ、そのままトレーとして使用するのです。テーブルの上にキッチンペーパーを敷いておくと、片づけるときも全部くるんで持ち運べるので、汚染物に触れるリスクも減少し、楽になります。

■4.まとめ
中国では、生産が次第に元に戻りつつあるようです。しかし、人の往来が止まっているので、本格的にモノの往来が戻るのはもっと先になりそうです。このため、歯科医療に不可欠な消耗品については、「代用品がないものは大切に使用する」「工夫して、できるだけ代用品を使う」「繰返し使用できるものは、工夫して再利用する」などの対策で在庫を大切に使っていく必要があります。
そして、絶対に避けなければならないのは、滅菌消毒を「節約」してしまうことです。

例えば、グローブを1日1枚にして、別々の患者さんに使い回すなどした場合は、血液やだ液を触るわけですから、交差感染を起こしてしまいます。市販の洗浄液でグローブを洗っても、ウイルスや殺菌は生きているからです。
恐ろしいお話があります。私のクライアント医院では、どの医院でも滅菌消毒を重視しています。当然、すべてのハンドピースを滅菌して患者さんごとに交換しています。

ところがある地域で、ライバルの地域医療センターに隣接した大型歯科医院が、ハンドピースの滅菌を終業時だけしか行なっていないことが露見したのです。その歯科医院から転職してきた歯科衛生士の証言によって分ったのですが、「汚くて怖かった」そうです。その歯科医院は、地域ではインプラントで有名な歯科医院なので、まさか!と思いました。

その歯科医院では、当然ながら外来環境加算を算定しています。コロナウイルスの感染予防で世の中が消毒の重要性を認識しているにもかかわらず、感染した歯牙を削る器具を滅菌消毒して患者毎に交換していないわけで、その医院名を公開したくなるほどの怒りを感じました。

マスク、グローブ、消毒用アルコール、ペーパータオル、ディスポのペーパートレーなどの消耗品は、医師やスタッフを守ったり、手間を省くためにあるのではありません。患者さんを清潔な環境で治療するためにあるものです。
歯科医院は外科処置を行なう医療機関です。大切な患者さんを守るために、こんな状況下でも清潔な医療環境を整えることを優先していることが、地域の患者さんからの支持と信頼を得ていくのだと思います。

以上