みなさんの医院にも、診療メモやサブカルテがあると思います。きちんと記録していますか?

例えば、受付から院内に忘れ物をした患者さんに電話を掛けたのですが、出られなかったとします。このとき「〇月〇日〇時 架電。応答なし」と記録しておくのです。こうして記録しておくことが、万一のときに医院を守ることにつながります。

歯科衛生士がホームホワイトニングの説明をするときには必ず知覚過敏についても説明するでしょう。当たり前のことだからです。

しかし、知覚過敏の痛みには個人差があります。予想外の激痛に「こんなことは聞いていない」と怒りだす患者さんもでてきます。このため、診療メモに記録しておくのです。「〇月〇日〇時、ホームホワイトニングについて説明。知覚過敏の可能性と1年ほどで後戻りすることについて説明。お支払い方法について質問を受けカード払いできることを説明した」などと書いておきます。
これがトラブル防止の決め手になることがあるのです。

歯科衛生士もこまめにメモを取る必要があります。例えば、定期予防を行っている医院では、担当患者制でいつも同じ歯科衛生士が同じ患者さんを担当しているケースが多いと思います。

しかし、数カ月先の予約をとっているため、何らかの用事でその患者さんの予約時間を変えていただく必要がでてくることがあります。その場合、患者さんに電話をして予約日時を変更していただけるといいのですが、患者さんのほうが時間変更できず、担当の歯科衛生士以外がその患者さんを診ることもあります。また、半年以上先の予約なので、自分でもその患者さんとのやりとりを忘れていることもあります。そのため、サブカルテに詳しく状況を書いておくのです。

このとき重要なのは、患者さんに説明した事項の内容です。主な項目を箇条書きでよいので記録しておくのです。これは、医院の説明責任が問題になることがあるからです。
 ①右下6番のインレー、カリエスの可能性。次回診療のアポ取ること。
 ②下顎右3番、いつも着石。ブラッシング方法を説明
 ③…

最近増えているインビザラインの説明でも同じです。「1日に22時間装着する必要があること、食事の際に外すこと、昼食後に歯磨きができない場合でも、短時間で虫歯ができるわけではないので、ライナーを装着してほしいこと、など説明」と記録しておくのです。

マルチブラケットの矯正の場合は、特にブラケット付近にカリエスリスクが高くなることについて説明しておく必要があります。「矯正装置の付近に歯垢がたまりやすく、虫歯になる可能性があること、毎食後きちんと歯磨きをするように説明。カリエスリスクについての文書を交付した」などと記入しておくのです。これは、特に矯正では、医院の説明責任が問われるからです。

サブカルテや診療メモの様式は医院によってさまざまですが、基本は、どんなに当たり前と感じることでも、きちんと記録しておくことです。
当たり前の説明をきちんと行ったという証拠が、トラブルになったときに重要になるからです。面倒でも記録を充実させましょう。

以上