コンサルタントの視点から:「不意の停電に備えよう」
先日の台風15号は千葉県に大きな被害をもたらした。
9月25日になって、停電地域がほぼなくなったが、まさか首都圏でこのような大規模な停電が発生するとは想像できなかった。
停電は交通や市民生活に大きな影響を与えた。停電していた地域では、200台を超える非常用発電機によって主な道路の信号を復旧させていた状態という。
日本では、毎年秋に台風シーズンを迎える。過去にも、洞爺丸の転覆事故や伊勢湾台風では何千人もの人々が亡くなった。これらは台風の進路予測ができなかった時代だった。
今では正確に台風の進路が予測でき前もって準備ができるようになった。しかし、JRや航空各社は台風15号に備えて前日から全面運休を予告し、翌日の9日に復旧する予定だったが、被害が予想外に大きく終日大混乱に陥った。横浜、東京、千葉の沿岸部では、高波によって工場や住宅地が浸水被害を受けた。
つまり、台風の進路を予測して事前に運休などの判断ができるようになったが、被害を防ぐことはできないのだ。
そして、歯科医院は停電すると何もできなくなってしまう。
房総の歯科医院は2週間も診療ができていない。医院も患者さんも大変な状況だと思う。また、日本では地震や津波もいつ発生するか分らない。
日頃から、災害に備えた準備を考えておく必要がある。この機会に、長期間の停電に備えた対応を考えておきたい。
①患者さんとの連絡体制を確保する:停電でアポイントコンピューターが止まると診療予約や患者さんからの予約変更ができなくなる。また患者さんに連絡ができなくなる。
アポイントシステムが入っているiPadが動けば、メールでの患者さんとの連絡や予約変更に対応できる。充電器の確保が重要である。
②患者さんの誘導経路と避難誘導の役割を確保する:突然停電で院内の電灯が消えると患者さんは不安になる。
スタッフが慌てず日頃から誘導経路と、避難誘導の役割を確認しておくことは重要である。
③非常用電灯を準備しておく:最近はLEDの明るい器具が販売されている。
昼間でも窓のない部屋は真っ暗になる。避難誘導や片づけなどのためにも、すぐに分かる場所に複数確保しておく。
④携帯用のテレビやラジオを準備しておく:状況を把握できるほか、停電によって断水した場合の給水ポイントや自治体のサービスなどの情報も入手できる。
バッテリーの充電が課題になる。
⑤スマホ、携帯電話用の充電用電池パックを準備しておく:電話も不通になるのでスマホや携帯電話は必需品である。
電池切れに備えて乾電池による充電装置を備蓄しておく。
⑥非常用電源を確保しておく:歯科治療中に停電した場合に備え、非常用電源を装備しておくことをお勧めする。
蓄電池式のものやエンジン式のものがある。
⑦医師やスタッフとの緊急連絡体制を構築しておく:携帯電話やメールアドレスを把握しておき医師やスタッフと連絡ができるようにしておく必要がある。LINEやツイッター、Facebookなどはメールよりも伝達速度が速いため日頃から院内連絡に使っておく。
⑧外科処置をした患者との連絡体制を確認しておく:外科処置をして消毒や経過観察が必要な患者との連絡体制を確立しておく。
停電発生後もSPなどができる体制にしておく。
⑨連携先医療機関との連携体制を確認しておく:停電すると歯科治療ができなくなる。急を要する患者は、連携病院との連携体制を確認しておく。
ぜひ、スタッフミーティングなどで話し合い停電対応リストを制作し、さらに患者さんの避難誘導訓練などを行っておいていただきたい。
以上