新型コロナウイルスが世界中で猛威をふるっています。まだ収束の気配はなくオリンピックまで懸念される状況になっています。先日、弊社のクライアント歯科医院で患者さんから、院内の新型ウイルスに対する感染対策はどうしているのかと質問を受けました。また、コロナウイルス感染を予防するための予約変更もでてきました。新型コロナウイルスは治療薬がないため不安を抱く患者さんが多いことを考えておく必要があります。歯科医院での感染予防を考えてみましょう。

① 患者さんに不安をあたえない:歯科医院ではホテルや航空機と同じように、まず患者さんに不安を与えないことが最重要です。以前にも増してきちんと清潔管理を行うだけでなく、患者さんにそれを伝える努力が大切です。

② 歯科医師とスタッフの感染予防を考える:歯科医院に働く歯科医師、歯科衛生士、スタッフが患者さんから感染しないように予防処置が必要です。歯科医師、歯科衛生士、スタッフから患者さんに感染させない対策も重要です。感染予防対策は待合室と診療室では異なります。

1)入れない対策:感染が疑われる方の来院を止める対策です。入り口に「一ヶ月以内に新型コロナウイルスの感染地域に旅行された方、あるいは14日以内に感染地域に旅行された方と接触された方、37.5度以上の発熱のある方は、受診をご遠慮ください」と掲示しておきましょう。

2)待合室での感染予防対策:待合室での感染ルートは飛沫感染と接触感染の二つです。飛沫感染は、感染している人がくしゃみや咳をした際に空気中に飛び散った唾液の飛沫を周囲の人が吸い込むことでおきる感染です。接触感染は、感染した人が鼻をかんだり咳やくしゃみをしたりするときに手にウイルスが付着し、その手で触れた物に別の人が触れ、その手で自分の鼻や口に触れておきる感染です。ですから受付の感染予防対策は、基本的にマスクの着用と手袋の着用、そして手洗いです。マスク着用は患者さんからの飛沫感染防止で、これからの花粉症の季節、くしゃみや咳をする患者さんが多くなるからです。感染した受付スタッフから患者さんへの感染を防ぐためにも、受付のマスク着用が必要です。また、保険証、診察券、現金からの感染リスクを避けるため白い手袋を着用しましょう。さらにアルコール消毒液でマメに消毒する必要があります。エントランスやトイレのドアなどもアルコールで清拭する必要があります。

3)診察室での感染予防対策:診察室内では飛沫感染と接触感染に加えて、エアロゾルによる空気感染のリスクに配慮が必要です。ウイルスに汚染された患者さんの歯の削りカスや唾液、血液などが微細な水滴といっしょに空気中に浮遊しているからです。エアロゾルに乗って目に飛び込んだウイルスは涙腺から鼻腔を通り咽頭に達します。そのためマスクとグローブに加えてゴーグルを着用しましょう。もちろんグローブも患者ごとに交換しましょう。さらに、患者さんが手で触れる場所、ユニットのひじ掛けなどは毎回清拭が必要です。

4)患者さんへの説明:大切なのは、これらの感染予防対策の清潔管理の患者さんへの説明です。例えば、医院として感染予防に取りくんでいることを伝えるポスターを、受付と診察室内に掲示して患者さんに読んでいただきましょう。そして、安心して治療を受けていただきましょう。

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